沖縄県 | 大宜味エリア
長寿の村のポテンシャルを活かした事業をつくる
2021年、世界自然遺産に登録された沖縄島北部。ブルーゾーンと呼ばれる世界5大長寿地域のひとつにも認定されており、中でもやんばるエリアに位置する大宜味村は「長寿の村日本一」を宣言している。濃い緑に囲まれ、深い山々と美ら海に面した大宜味村では、栄養価の高い食文化や地域の高齢者“おじぃ・おばぁ”の積極的な社会活動への参画によって、いきいきと暮らせる環境があった。「コロナ禍までは、教育民泊の受け入れを中心におこなっていました。しかし受け入れが止まったことで、国内外のお客様に向けた体験型コンテンツや宿泊プランをかたちにして、地域のポテンシャルを活かしたいと考えるようになりました」とNPO法人おおぎみまるごとツーリズム協会の宮城さんは話す。長年大宜味村の観光業の発展に尽くしてきた宮城さんは、これまでにも複数の観光コンサルタントと提携したことがあった。「大宜味村の環境を深く理解し、同じ目線で協業してくれるコンサルティング会社を探していたんです」。
伝統や風習、人々の想いが伝わるコンテンツをめざして
そんなとき、コンタクトを取った地ブラ。担当者の上原はまず、宮城さんや地域の民泊事業者、大宜味村の住民の方と対話を重ねることに。そして、大宜味村の伝統ある文化の担い手が、高齢化によって減少傾向にあることを知った。「世界的に評価されている、この地域の伝統を守りたい。そのために、観光事業を実現したいと強く思いました」と上原は当時を振り返る。大宜味村の魅力を本質的に届けるために、“おじぃ・おばぁ”が大切に受け継いできた風習や想いを、お客様に伝えるべきだと考えた。そこで、予約サイト上にメッセージを掲載したり、滞在前のお客様にヒアリングの機会を設けた。そして、受け入れ側の村民には、食事や会話など来訪者が求めているコミュニケーションのポイントをまとめた資料を配付した。整理して言語化することで、宮城さんや村民、地ブラとの共通認識をつくる。こうしたアクションを積み重ねながら、お客様と地域の人々がともに地域の伝統に目を向け、大切にするコンテンツへと磨き上げていった。


一貫したサポートでエリアを支える架け橋であり続ける
地ブラはコンテンツ造成やプロモーションだけでなく、アクティビティのための備品購入や、インバウンド客の宿泊対応マニュアルの作成などさまざまな面で伴走した。「地ブラが、まだ見ぬお客様と住民との架け橋になってくれた」と宮城さんは笑顔を見せる。ポテンシャルが高い大宜味村だからこそ、日々のありのままの暮らしを国内外のお客様に届け、味わっていただく観光事業が実現できる。「大宜味村にしかないブルーゾーンの価値をどう届けていくか、模索し続けていた。コンサル会社はいくつもあるけれど、地ブラをパートナーに選んでよかった。住民と事業者の声をちゃんと聞いて取り入れながらブラッシュアップしていくサポートは、他の会社では実現できなかったと思っています」という宮城さんの言葉に、上原は誇らしそうに微笑んだ。今後はWebサイトのリニューアルを進めながら、大宜味村の伝統や文化へのリスペクトを醸成し、持続可能な観光地へと伴走していく。大きな期待を受けて、地ブラはこれからも実直に走り続ける。
伝統が息づく島ならではの魅力を 言語化し、国内外に伝えていく
- ・密接なコミュニケーションで村民の想いを受け取る
- ・地域の伝統を言語化し、共通認識をつくる
- ・来訪者に地域への理解とリスペクトを醸成させる工夫を
- ・観光商品造成について戦略・実務の両面からサポート
宮城 健隆さん
宮城県出身。都内の鉄鋼会社で定年まで勤めたのち、一族のアイデンティティがある沖縄県・大宜味村に移住。地域協議会を立ち上げ、2010年にはNPO法人おおぎみまるごとツーリズム協会を設立する。教育民泊事業を軸に、大宜味の自然と文化を体験できる機会をつくりだしている。
