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2021/10/21 国別対策

ここでしか魅せられない、唯一無二の魅力を形に。第2回Attractive JAPAN大賞 大賞受賞・八ヶ岳アドベンチャーツアーズ

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    着地型体験観光企画を通じて持続可能な地域の発展に貢献した観光関連事業者・取組団体を表彰する『Attractive JAPAN大賞』。審査は、地域振興やエコツーリズムの専門家3名の評価をはじめ、ブッキングデータの伸び率、クチコミ評価、地域らしさ、関係者の熱意、持続性、話題性、地域貢献度等の総合評価により決定します。この度、Attractive JAPAN大賞受賞事業者の方々に、インタビューを実施し、地域で体験観光をおこなう方々の取り組みを深掘りしていきます。

    今回は、高原ならではの景観と写真撮影が強みで、地域の魅力を多様に見せることに成功しており、「Attractive JAPAN大賞」大賞を受賞された、八ヶ岳アドベンチャーツアーズの福井さんにお話を伺いました。生まれ育った白樺湖周辺の魅力を新たに掘り起こし、ここでしかできないe-バイクツアーを造成された八ヶ岳アドベンチャーツアーズ。日本ではまだあまり知られていない「レイクリゾート」の話にも注目です。

    世界中をまわって気づいた、白樺湖の魅力

    私は、元々、白樺湖周辺に住んでいたのですが、子供の頃から始めたスキーで海外のレースや遠征に参加するようになり、そこからしばらく地元を離れて生活をしていました。そんな中、年々帰ってくる度に、子どもの頃には気づかなかったこの地域の魅力に気づくようになり、3年前に自分たちの生活の基盤も、もっと自然に寄ったところにしたいと、白樺湖にUターンし、八ヶ岳アドベンチャーツアーズでの仕事を始めました。

    白樺湖の魅力は、まず観光地でありながら手つかずの自然もしっかり残されていること。湖も山もあり、気候も良く、夏でも30℃いかないくらいの涼しい日が続きます。昼間でもランニングする人が多く来られるくらい、レジャーに適した場所だと思います。

    過去にスキークロスの世界選手権に参加したり、その他のレースや遠征もあって、世界中のリゾートを多く回ってきましたが、この地域は引けを取らないくらい魅力的な自然環境で、やり方次第ではニュージーランドのワナカ湖のように色々なアクティビティ展開ができるのではないかと思っています。

    また、この地域は特に、小さいお子様連れのお客様が多く訪れる場所なので、アウトドアアクティビティの初心者の方が多いです。そうした中で、湖のアクティビティをやるメリットは、川や海と比べて安全性がとても高いこと。波がなく、風も弱いので、流されてもどこかの岸に辿り着くなど、初心者の方でもすべてのアクティビティを楽しめるようになっています。

    e-バイクでのサイクリングツアー を始めたきっかけ

    白樺湖の中でアクティビティを増やすのではなく、違うアクティビティに挑戦してみたいと思い、始めたのがサイクリングでした。子どもの頃、いつも友達と遊んでいたビーナスラインや近くの八子ヶ峰公園という林道がとても良いコースなのですが、坂がきつく、マウンテンバイクでは簡単に登れないため、e-バイクを取り入れたサイクリングにし、体力がない女性や年配の方でも、楽しく自分の足で丘を登って素晴らしい景色を見ていただけるようにしました。

    午前中にカヤックを体験して、午後はサイクリングで丘を登る。そうすると、カヤックを体験した湖を上から眺められたりします。そうすることで、白樺湖の湖畔を含めて、このエリア全体をより楽しんでもらえるのではないかと考えています。

    集客するための工夫

    サイクリングを始めた当初は、集客に大変苦戦しました。水の上を浮かべるカヌーは、非日常であってイメージしやすいですが、サイクリングはどんな絶景が見られるのか、e-バイクはどのように楽しいのか、ということを表現して伝えることに、少し難しさがありました。

    そこで、集客のためにまずは、ウェブサイト上で初心者の方でもe-バイクを使うことで山岳のハードなコースも楽に登れますということを伝え、美しい景色の写真や、乗っていて楽しそうなイメージの写真撮影をカメラマンにお願いしました。また、お客様が体験をよりイメージしやすいように、自分たちでも良い写真を撮りに行ったり、ムービーを作ったりしました。写真に合わせて付けるコメントなども、とても大事でしたね。

    「e-バイクで走る 八ヶ岳絶景サイクリングツアー」について

    今回、受賞した「e-バイクで走る 八ヶ岳絶景サイクリングツアー」のコース上にある白樺湖やビーナスラインなどは、季節によって見せる顔が違います。そのため、季節によって同じコースの中でも立ち寄る場所の滞在時間は多少変更しています。例えば、秋は紅葉を見やすいポイントで自転車を下りて散策したり、夏前には旬のニッコウキスゲを見るハイキングを入れたりしました。

    ツアー中に白樺湖周辺やコースの魅力を紹介するためには、ガイドの育成も重要なポイントになります。そのため、この地域のことだけでなく、植物や環境問題のこともきちんと話せるように、普段からみんなで勉強会を実施し、時間があれば一緒に実際のコースを走ったりもしています。

    ツアーにおける環境への配慮

    本ツアーでは、水分補給をするために、白樺湖の湧き水を持参したマイボトルに給水して出発します。サイクリングツアーですが、自然体験でもあるので、自然に触れてほしいという所から始まっています。都会に暮らしていると、生活するには便利なので、環境変化などに気づく機会や、不便を感じることも少ないと思うのですが、こういう場所に来た時だからこそ、自然に対する感受性は、とても豊かになると思います。また、その時に起こしたアクションは、その後も残ってくれるのではないかと期待しています。このツアーをきっかけに、普段からマイボトルを持ち歩くなど、環境への配慮を意識した生活をしてもらえると嬉しいです。

    コロナ対策におけるルール作り

    コロナ対策としては、去年流行り始めた時に、地域の病院の感染症対策の先生にお願いして実際にツアーに入っていただき、危険なポイントを洗い出しました。せっかく高原に来てもらった以上は、できるだけマスクを取って、綺麗な空気を吸ってもらいたい。そのためには、それなりの説得力がないと難しいので、プロである先生にマスクを外しても良い基準となるルールを作ってもらいました。そのおかげで、私たちもようやく一歩を踏み込めたように思います。

    それぞれの地域にしかない魅力を活かした商品造成がカギ

    商品を造成する時、他の地域での成功例をそのまま横展開することは、安易だと思っています。なぜかというと、地域によって環境も違いますし、住んでる人たちも場所によって地域性があるからです。そもそも地域の歴史や文化が違うので、「このアクティビティを作りたいな」と思った時に、自分たちの地域で本当にフィットするのかどうかは、すごく慎重に考えるようにしています。

    私たちの例でいうと、まず、湖畔のサイクリングロードという車道と隔離された安全な場所で参加者の方々に練習してもらうことは、この地域だからこそできることで、大事にしたポイントの1つです。その上で、広い観光道路に乗っていただく。その後、砂利道の林道を走って、また別の角度から絶景を見られるという感じで、どんどん難易度を上げることができるコース設定にしています。また、それぞれの道で、e-バイクの乗り心地や乗る楽しさなども感じていただけるようにしてます。

    八ヶ岳アドベンチャーツアーズのこれから

    今後の展望としては、新しいモノを作るのではなくて、今ある自然環境や、このリゾートを生かしたアクティビティを、僕らの得意なところで作っていきたいと思っています。今後、メニューは増やせれば増やして行きたいと思っていますが、まずは今年増やしたSUP体験があるので、それをしっかり形にしていきたいです。あとは、教育旅行や団体のチームビルディングの需要がとても増えている場所なので、これからは、学校や企業の研修にも力を入れて行きたいと思っています。

    また、僕たちは「湖畔の時間」というイベントも開催しています。日本には、ビーチリゾートはありますが、「レイクリゾート」という概念があまりないので、僕たちが多様な過ごし方を提案しようと始まりました。

    アクティブに湖や山岳リゾートで遊ぶのも良いのですが、読書をしたり、散歩したり、ただただ、焚き火を囲んで湖畔でのんびり過ごす時間っていうのも楽しんでいただける、そんなレイクリゾートをこれから作っていきたいと思っています。第2回目の開催となる「湖畔の時間」は、2021年11月13日(土)・14日(日)に予定しているので、ぜひ遊びにきてください。

    まとめ

    今回は、第2回Attractive JAPAN大賞 受賞に伴い、編集部が八ヶ岳アドベンチャーツアーズの福井さんにインタビューを行いました。地域の魅力を見つめ直し、新たな切り口から魅力を引き出すコンテンツの造成方法など、様々なお話を伺うことができました。

    八ヶ岳アドベンチャーツアーズでは、元々あった地域の魅力を活かしつつ、その新たな楽しみ方を模索され、地元の方々との関わりも大切にしながら、コンテンツ造成をしてこられました。大賞選考過程においても話題性や成果・地域貢献性が評価された、ガイドが案内する八ヶ岳エリアの絶景ポイントや、白樺湖の湧水の給水など、自然をたっぷり満喫できるプログラムの他、日本ではまだあまりないレイクリゾートという概念を日本でも広げるべく、「湖畔の時間」などの新たなイベントも始められています。

    地元にある資源や魅力を最大限に活かしながら、新たな観光の形を考える。今一度、原点に立ち返って、他の地域にはない唯一無二の魅力と向き合うきっかけとなるお話を伺えました。今後のさらなるご活躍を期待しています。

    第2回『Attractive JAPAN大賞』についての紹介ページはこちら

    八ヶ岳アドベンチャーツアーズさんの公式サイトはこちら

    八ヶ岳アドベンチャーツアーズさんの体験ツアーはこちら

    第2回『Attractive JAPAN大賞』各賞を受賞された方のインタビュー記事はこちら↓
    地域アイデンティティ賞受賞・株式会社つくる様
    SDGs賞受賞・津和野町様
    地域イノベーション賞受賞・琴平バス株式会社様

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