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2021/10/18 国別対策

津和野町で守り継がれた歴史や文化を次世代へ。第2回Attractive JAPAN大賞 SDGs賞受賞・津和野町

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    着地型体験観光企画を通じて持続可能な地域の発展に貢献した観光関連事業者・取組団体を表彰する『Attractive JAPAN大賞』。審査は、地域振興やエコツーリズムの専門家3名の評価をはじめ、ブッキングデータの伸び率、クチコミ評価、地域らしさ、関係者の熱意、持続性、話題性、地域貢献度等の総合評価により決定し、受賞者が選出されました。この度、Attractive JAPAN大賞受賞事業者の方々にインタビューを実施し、地域での体験観光における取り組みを深掘りしていきます。

    今回は、サステナブルツーリズムにつながる優れた体験プログラムを提供していることから、SDGs賞を受賞した津和野町より、津和野町商工観光課の村田さん、津和野町観光協会の金子さんにお話を伺いました。従来の通過型観光を克服するために、朝ごはんを1つのテーマとして、昔から守り継がれた歴史や文化、自然資源を生かした持続性のあるツアーを造成。その背景には、次世代につながる体験型観光へのヒントが詰まっていました。(以下、お二人の言葉となります)。

    津和野町の抱える観光の課題

    津和野町は、島根県の西端に位置し、年間約120万人もの観光客が訪れる観光地です。しかしながら、宿泊者数は年間わずか3万人あまり。大型バスで来られた団体客が1~2時間滞在して帰るという「通過型観光」が課題となっており、宿泊による滞在時間を延ばさなければ、観光地として今後、衰退が早まってしまうのではないかといった危機感を強く感じています。

    また、町内の高齢化も進んでおり、次世代を担う方がいないお店が多いことも課題です。これは、宿泊施設も同様。昭和50年代に行われた「ディスカバー・ジャパン」(現在のJRのキャンペーン)をきっかけに爆発的な観光ブームが起き、当時は宿泊施設が30施設近くありましたが、現在では9施設しか残っておらず、年々減少しています。津和野町まで観光に来ていただいた方に楽しんでいただけるお店や宿泊施設の数が減少していることも非常に懸念しています。

    通過型観光を克服するため、「朝」に注目

    そんな中で考えたのが、「山岳ガイドと早朝登山!町を一望できる津和野城跡から愉しむ“つわの朝ごはん”」。

    少しでも滞在時間が長くなるような仕掛けをしたいと思い、「朝ごはん」を1つのテーマにしました。津和野町の人気観光地である城跡まで登り、綺麗な景色を眺めながら地産地消の食材を使った美味しい朝ごはんを食べていただく。そうすることで前日から宿泊するお客様が増え、滞在時間の短さや宿泊率の低さも解決されるのではないかと考えました。

    秋には山頂から雲海が綺麗に見え、霧が入って翳ってくると隙間から赤い石州瓦の特徴的な町並みが見えてくるというロケーションも非常に魅力的です。また、これからのアウトドア需要に向けてアフターコロナでも楽しんでいただけるよう、環境への配慮も大切にしています。

    更に、城跡から見える風景や城跡に生えている珍しい草木など、津和野町は自然を楽しめる場所でもあり、色んな人に知ってもらいたいという思いがありました。そこで、ネイチャーガイドの資格を持つ観光協会の職員の方をガイドとして活用し、参加者の皆さんにお伝えしています。

    津和野町でしか味わえない、こだわりの詰まった朝ごはん

    ツアーで提供している朝ごはんは、1年を通じて同じ料理ではなく、季節に合った食材を使うことにしています。春は津和野町の郷土料理「うずめ飯」を提供しました。

    「うずめ飯」とは、春の山菜をご飯の下に具として埋めてだし汁をかけ、津和野町で採れた新鮮なわさびをのせて食べるものです。これから夏・秋・冬と、開発していく形になりますが、基本的には津和野町に昔から伝わる料理や地の食材を使った朝ごはんを提供していきたいと考えています。

    これまで継承してきた歴史や文化を次の世代へ

    今回受賞したツアー以外にも色々なツアーやイベントの企画をしてきましたが、企画において1番気をつけていることは、津和野町にマッチしたものであるかどうかということです。

    津和野町自体が歴史や文化を守り継承してきた町であるため、ただ単に町並みだけを知ってもらうのではなく、津和野町の人々がこれまで守り育ててきたポイントもツアーの中にしっかりと織り込みたいと考えています。町歩きのガイドツアーに関しても、必ず津和野町の町並みや自然をきちんと見ていただけるよう気をつけながら、構成を考えています。

    関わりのある地域の方々と共存できる仕組みづくり

    私たちは、利益がどこか1箇所にとどまるのではなく、広く参加される方のところへ還元されるべきであるという考えでコンテンツを作っています。農家の方や商売をやっていらっしゃる方、観光関係の方といったように、各コンテンツの中で関わっていただいている方々にきちんと利益が出るように考えながら取り組んでいます。

    また、今回評価して頂いたSDGsにも繋がるのですが、私たちは継続していく可能性がなければ意味がないと考えています。そのため、自然に優しいツアーなど前向きな取り組みをされている事業者さんに対してはきちんと支援し、今後もお互いに共存できる仕組みを作っていきたいと考えています。

    「リスタート津和野」に向けて

    これからの津和野町の観光テーマは、「リスタート津和野」。先ほどお話しした昭和50年代に賑わった津和野町の姿を、もう一度呼び起こそうじゃないかということで名付けました。

    今回、8つのコンテンツを観光庁の補助事業で実証的に作ってきましたが、期間が非常に短かったので、まだまだ完璧な商品だとは思っていません。向こう3年間で、商品としてきちんと成り立つように作り上げていきたいと考えています。もちろん、コンテンツも8つだけではなく、参加者に満足していただけるいろいろな切り口のツアーを造成をしていきたいと思っています。

    また、今回受賞したコンテンツはガイドが非常に重要な役割を果たしており、今後はガイド教育も大切な要素であると考えています。きちんとした認定ツアーガイドの育成システムも向こう3年間で構築し、いろいろな世代の人に幅広く津和野町をガイドできる人材を育て、有料で継続可能なツアーにしていきたいと思っています。

    しっかり育成されたガイドを活用し、新しい切り口で自然や歴史、文化を知ることができるガイドツアーを造成することで若い方にも津和野町に来てもらい、「津和野町って良いところだな」と楽しんで頂ける町にしたいと思っています。また、これまでに来たことがある方にも、津和野町に来る度に新しい発見があったり、青春時代を思い出して楽しんでいただけるように工夫していきたいです。津和野町の歴史と自然と文化を土台にしたツアーをどんどんブラッシュアップしながら、若い方からご年配の方まで皆さんが楽しんで頂けるものを作っていきたいという思いでこれからも取り組んでいきたいと考えています。

    まとめ

    今回は、第2回Attractive JAPAN大賞「SDGs賞」 受賞に伴い、編集部が津和野町商工観光課の村田さん、津和野町観光協会の金子さんにインタビューをさせて頂きました。従来の通過型観光を克服するための取り組みや、歴史や文化を次世代に継承するための工夫など様々な切り口からお話を伺うことができました。

    津和野町では、昔から守り継がれる歴史や文化、自然資源、関係者の方々とのつながりを大切にしながら、様々なツアーを造成してこられました。SDGs賞選考過程においても評価されたように、様々な団体と連携して地域の魅力を磨き上げ、地域の持続的収益性を構築することで、持続可能な循環につながっているのです。次世代に向けた観光の取り組みの大事な要素として、持続可能性が問われている今、津和野町での取り組みは、今後の地域における体験型観光のあり方の参考になるのではないでしょうか。

    また、過去の経験や地元のファンの方々からの意見なども取り入れつつ、更に新しい観光のあり方を模索されています。今後のさらなるご活躍を期待しています。

    第2回『Attractive JAPAN大賞』についての紹介ページはこちら

    津和野町さんの体験ツアーはこちら

    第2回『Attractive JAPAN大賞』各賞を受賞された方のインタビュー記事はこちら↓
    大賞受賞・八ヶ岳アドベンチャーツアーズ様
    地域アイデンティティ賞受賞・株式会社つくる様
    地域イノベーション賞受賞・琴平バス株式会社様

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