【台湾人が語る】訪日台湾人を地方に呼び込む集客術
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みなさんこんにちわ。地域ブランディング研究所の台湾人スタッフ ゴ・ショウセンと申します。
今回は日本在住6年目の台湾人視点から、地方に訪日台湾人呼び込むための集客をご紹介したいと思います。
データで見る訪日台湾人
まず全体像を把握するため、訪日台湾人に関するデータを見てみましょう。
訪日外国人全体中3位
2018年の訪日台湾人は475.7万人。訪日外国人全体のからみると3位に位置しています(構成比15.3%)。
訪日外国人というと中国をイメージしやすいと思いますが、台湾もなかなか存在感を発揮しています。
(出典:JNTO訪日外国人推移データより作成)
ちなみに台湾の人口は約2,400万人。そのうちのべ500万人弱が訪日していると考えるとすごい比率です。
実際はリピート率が非常に高く訪日数3回目以上の方が全体の67.5%を占めています。
脱団体旅行化が進行中
日本に行き慣れている人が多いことに加え、LCC便数が増加していることもあり個人旅行客の割合が上昇中。ネットで簡単に予約できてしまうのでフットワークは非常に軽いです。
(出典:訪日外国人数 消費動向調査 観光目的データより作成)
訪日台湾人が求めていること
台湾人が訪日旅行に求めているものは、主に下記3つのジャンルです。
1.趣味にまつわる体験
自分の趣味をベースに海外に行く台湾人が増えています。
普段やっている趣味(ミュージックフェスティバル、芸術祭、キャンプ、自転車、登山など)で、海外に類似したものがあれば行ってみたくなります。
2.現地ならではのグルメ
台湾人は以下の3種のグルメに惹かれます。
- 日本でしか食べられないグルメ:ホタルイカ、イカそうめん、馬刺し、鶏さし、タラバガニなど
- 日本が本場のグルメ:抹茶、お好み焼き、牛カツなど
- 衛生面含め絶対日本で食べた方が美味しいグルメ:牡蠣、ウニ、米、メロンなど
ちなみに私は都電荒川線沿いの居酒屋が好きでよく入り浸ってます・・・笑
3.映えるもの
綺麗な写真が撮れ、SNSでみんなに自慢できるものがとにかく好きです。SNSで他の人がシェアした綺麗な写真を見て、自分も行きたくなるし、自分もその写真と同じものを撮影したくなります。
加えて撮れる期間が限定されていれば、ますます「行きたい!」と思っちゃいます。
最近、筆者の台湾人友達の間に話題になっているのは
- 奈良美智のあおもり犬
- 世田谷沿線豪徳寺の招き猫
- 瀬戸内の草間彌生のかぼちゃ
- 国営ひたち海浜公園のコキア
などです。
訪日台湾人はどのように情報を取得し予約するのか?
ネット情報が中心
台湾人の旅行先のリサーチはインターネット経由がメインです。
前述した通り訪日台湾人はリピーターが多いです。その中には、ブロガーや撮影上手な人もたくさんいます。
この人たちが訪日観光に来るたびに、日本で撮った写真を使い、体験したことを記事にし、FacebookやInstagram、自分のブログで発信しています。インターネットは台湾人にとって一番大きい旅行の情報データベースです。
普段から訪日観光分野の記事に興味や関心を持ちブロガーなどをフォローしている人も多く、
- 記事を読んで自分も行きたいと思い、すぐに計画を立てる人
- 日本に行きたいけどどこに行こうかあれこれ悩む人
の2タイプに分かれます。
後者の場合も、必ず
日本を紹介するサイトの記事
Instagramの写真
Facebookのクチコミ
日本旅行する台湾ブロガー
をチェックしてから、最終的に決めます。
したがって、各種メディア・SNSとオンライン予約機能をうまく連動させれば、予約数が上がること間違いないでしょう!
台湾人が語るなぜ今訪日ブームなのか?
ここでは私の個人目線で訪日ブームを解説したいと思います。
訪日コストが下がってきた
よく知られていることですが、台湾は親日国であり、日本を好きな人がそもそも多いです。
近年、LCCの増便や台湾独自の新しいLCC会社が運営開始し、日本までわずか3時間弱で行ける距離という事もあり、「気が向いたら日本に行ってくる」感覚が高まっています。
更に宿泊予約サイトも充実し、ホテルや旅館より安いオシャレなゲストハウスや日本の日常を体感できる民宿も選択できるようになったこともあって旅行内容をアレンジしやすくなりました。
日本語の意味がなんとなく分かる
繁体字を使用している台湾人にとって、日本語の漢字は親しみがあり、読めなくても、なんとなく意味はわかります。
他の国より安心でき、ストレスなしで行けるのが訪日観光の一番大きい理由だと考えられます。
友人への自慢ネタが集められる
前述の日本への行きやすさ・泊まりやすさ・言語の親しみやすさの他に、もう1つ訪日観光が増えている理由があります。
最近、筆者の友達を含めて、台湾人がどんどん日本国内の各地域に足を伸ばしています。なぜなら、台湾人は「自分しか知らないネタ」を自慢するのが好きだから。
よく日本に来る何人かの友達や親戚と話している場面で、こんな会話が登場します。
「え!ここも知らないの?素敵なのに、行かないと損だわー」「みんなが行ったことあるところより、こっちのあまり行ってない方に行きたい〜」など。
こちらは私の台湾人友人とライン上のやりとり。
石巻のリボーンアート・フェスティバルについて話したら
「こんなところあるの?行きたい!」という強い反応がありました。
そんな心理を持つ台湾人は、必死になってインターネットで情報を集め、現地に行っても、頑張ってお美味しいグルメや綺麗な景色の写真を撮って、ガンガンInstagramやFacebookで、みんなに自慢するのです。
こちら私の個人インスタグラム(非公開設定)の様子。
正直インフルエンサーではありませんが毎回友人からの強い反応があります。
こういった身近な人からの地道な周知が効いてくるのです。
どうすれば台湾人を集客できるのか?広島県 島田水産の場合
以上台湾人の傾向をお伝えしました。では実際集客する上でどのように情報を伝えれば台湾人の心に響くのでしょうか?
ポイントは下記3点
- 地域特有のものを見極める
- ターゲットに合わせたツールで発信
- フィルターをかけて伝える
具体的に広島県の牡蠣会社 島田水産を事例にご紹介します。
地域特有のもの:牡蠣筏の水揚げ
島田水産では、普段乗れない小型の作業船に乗って、牡蠣漁師が案内しながら、かき筏での水揚げの様子を間近で見られます。
その後、世界遺産の厳島神社を海上から参拝し、島田水産に戻ったら、漁師飯を堪能できます。
広島の人から見ると、普通ではないかと思っちゃうかもしれません。でも、そのローカル感やホンモノ感は訪日台湾人に確実に伝わります!
ターゲットに合わせたツールで発信:ブログ
前述したとおり、訪日台湾人はネットによる情報収集が活発です。発信媒体はコンテンツがきちんとアーカイブされるブログとしました。
フィルターをかけて伝える:台湾人旅行者目線
サービス提供者が発信してしまうと宣伝ぽくなってしまいます。そこでターゲットに近い台湾人のブロガーさんを招き、島田水産を体感してもらい、繁体字でブログ記事にしてもらいました。
(出典:日本。私旅行 アリシアのブログ)
以下記事内容の一部を抜粋し、翻訳したものをご紹介します。
「秋の瀬戸外海、街は平気で歩ける気温だけど、船に乗ったら、寒さを感じられて、少し漁師の気分になりました。」
「普段は乗れない小型の作業船だからこそ、波を感じながら船と一緒に揺れて、目の前の雄大な海と空に感動し、平和な気持ちになりました。」
「一番迫力を感じたのは水揚げです。1つの柱だけでなんと500匹の牡蠣がいます!一気にひっぱって揚げられるのを初めて見ました。漁師の説明によると、太平洋側と日本海側の自然環境は違うため、品種も旬も違うことがわかって面白かったです。水揚げが終わったら、旬の牡蠣食べ放題や漁師さんたちか普段食べている漁師飯もあってワクワクしています!」
「厳島神社には行ったことがありますが、海から見るのは初めてです。海から見ると、その迫力は全然違って、感動しました。好奇心で漁師に聞きましたが、厳島神社は、漁師たちの命や生活を守ってくれる、漁師の間でも一番尊敬されている守護神だそうですよ。」
ローカル感やコンテンツの価値観が伝わっていると思いませんか?
この記事がブログで公開されてからすぐ、台湾人のお客さんの予約が何件も入ってきました。
まとめ
訪日台湾人が増えた背景としてLCCの普及といったことがよく言われます。
ただコストが安いだけでは集客できません。
台湾人の「友人に自慢したい」という心理をうまく汲み取ったコンテンツを造成できれば友人の輪を通じて多くの台湾人を集客できるでしょう。
そしてそのチャンスは地方にこそ多く眠っていると私は思います。
今日の一句
”自慢したい レアな話題を 掘り起こせ”