広島 | しまなみエリア
穏やかな紺青の海に無数の島々が浮かぶ広島県・しまなみエリア。世界でも類まれな美しい景観と温暖な気候で、そこに暮らす人々も穏やかだ。のんびりとした空気が流れ、一度訪れたらその魅力の虜になるに違いない。しかし、広島旅行といえば、原爆ドーム(広島平和記念公園)と嚴島神社(宮島)の2つの世界遺産を思い浮かべる人がほとんど。しまなみ海道の人気も年々高まっているものの、観光客の滞在時間や観光消費額が限定されており、体験型観光コンテンツの整備も課題だった。地域ブランディング研究所(以下、地ブラ)は、代表の吉田博詞が広島出身ということもあり、「広島やしまなみエリアの魅力を多くの人に知ってもらうために、もっと地域の人たちに光を当てたい」と、広島にオフィスを構え、熱い思いと共に取り組んでいる。
事業者に寄り添い、やるべきことを明確に
つながりを大切にする地ブラでは、広島県の研修事業の参加者であった地域の事業者一人ひとりから話を聞き、課題を明確にしていった。「こうなりたい」という強い気持ちがあっても、どこから着手したらいいかわからないという事業者に、エリア担当者の髙竹瑞恵は丁寧に寄り添い、事業ステージや課題ごとにやるべきことを整理、言語化していった。「ターゲットはどう設定するのか、付加価値はどう付けるのか、一般論ではなく、具体的なアドバイスやアイデアをくれたのがありがたかった」と話すのは、広島県福山市でシーカヤックツアーを提供する村上水軍商会の村上泰弘さん。「他社が『もっと値段を安く』『クーポンは必須』と迫る中、地ブラだけは商品に自信を持って、適正な値段をつけましょうと背中を押してくれました」と話す。
地域と地ブラ、縁は続くよ、どこまでも
「事業の切れ目が縁の切れ目」とならないように、地ブラはつながりのできた事業者に声をかけてまとめ、行政を巻き込んだ予算の獲得に奔走した。インバウンド対策も見据えた商品のブラッシュアップ、販路拡大のための情報発信にも力を入れた。その過程で「しまなみエリア」としての魅力を最大限に引き出すために、事業者同士のネットワークの強化にも努めた。広島県竹原市・呉市でプライベートクルーズを提供するせとうちクルーザーの西田勝則さんは「地ブラのおかげで他の船や宿泊施設の方々とつながることができました。これでお客様の満足度をさらに高めることができるはず。一人だけでは限界がありますが、それぞれの力を合わせることで地域の可能性を広げられることを実感しています」と手応えを感じている。
地ブラがめざすのは「訪れた観光客が地域のファンになって何度もリピートしてくれること。そして人々が自分の地域の良さをお裾分けしながら、ペースを崩すことなく誇りを持ってイキイキと生活する」というサイクルだ。つまり、地域が自走すること。「いつまでも地ブラが二人三脚させていただくのではなく、地域自ら理想の未来を切り拓いていけるような形をめざしています」と吉田は語る。
目の前に広がる美しい景色と人々の笑顔が、100年後も続くことを見据えて、今日も地ブラは広島・しまなみの人々と共にいる。
フェーズに応じた継続的な関係を構築
- ・広島県の事業をきっかけに5年以上の継続的な付き合い
- ・担当者が地域の方々と共に汗をかきながら体感することを大事に
- ・ 何度も地域に足を運び、信頼関係を構築
- ・ 既存の支援メニューに留まらず、状況、ニーズに合わせ臨機応変にサポート
- ・ コロナ禍においても国内観光向けへの転換などを提案・支援
村上水軍商会 村上泰弘さん
村上水軍の末裔だからこそ話せる鞆の浦の歴史や珍しい話を織り交ぜながらのツアーが好評。カヤック歴30年以上の経験を活かし、安全で楽しいカヤック体験を提供しています。
せとうちクルーザー 西田勝則さん
広島県の竹原・呉から手軽なプライベート・チャータークルーズを提供しています。美しい瀬戸内海の景色に抱かれて、船上パーティーやフィッシングを楽しみながらのクルーズも。