暮らす人の静かなる情熱を灯し続けるまち
都会でありながら、水と緑に囲まれた静閑なまち、「住吉」。周辺を錦糸町駅や菊川駅などの有名駅に囲まれながらも、小名木川や多数の公園などいつでも自然と触れ合うことができます。そこで出会ったのは、実際に行かなければ気がつくことのできない人々の魅力、水と自然、そして日常の中の芸術でした。人から、自然から、芸術文化からさまざまな刺激を受けられる、そんな住吉には、人生にこだわりを持った人が多いのかもしれません。
何もない、と言われてきた住吉の魅力を根本から掘り起こした1冊。誰が住んでも吉し、の住吉をお届けします。
静かな情熱をもって暮らす
住吉に生きる職人たちの情熱は、静かでありながら力強いものです。3名の職人を通して、住吉というまちを紐解きます。
「小林硝子工芸所」で、4代目として江戸切子をつくる小林昂平さん。「江戸切子を新しい表現で広めたい」という想いのもと、独自のアクセサリーブランドの立ち上げに挑戦しています。「穏やかな空気が流れるこのまちは住むにもいいね」と語るのは「斎藤シャツ CAMISA SAITO」を営みオーダーメイドシャツを仕立てる、社長の斉藤久夫さん。シャツの着心地の良さを想い、生地を裁断前に水洗いするというひと手間も惜しみません。2016年に自宅を改装して「Mon lapin」を開いたパン屋店主の石野順子さん。地域を支え地域に支えられながら、おいしいパンを通して忙しいお母さんたちにエールを送っています。
自然体で過ごせる場所
都心であり抜群なアクセスを誇りながら、川と緑にも触れ合えるのが、ここ住吉。忙しい毎日に息が詰まった時、自然の中に身を置いてみてはいかがでしょうか。
江戸の物流を支え多くの文化人たちを魅了してきた、住吉を東西に流れる小名木川。「しおのみち」として親しまれる川沿いの遊歩道は、ランニングやハゼの釣りのスポットになっています。かつて江戸幕府や明治政府御用達の貯木場として利用されていた「猿江恩賜公園」には、テニスコートや無料の水遊び場、いくつかの広場や池が揃っています。近くには屋内クライミング施設やドッグカフェ、少し足をのばせば、「木場公園」や「横十間川親水公園」など水と緑の公園があります。
刺激を受け自分を更新する場所
住吉には音楽、演劇、絵画、写真など、芸術に触れ自らを高めていける場所がいくつもあります。
国内屈指の格調高い響きが味わえる「ティアラこうとう」は、1994年の旧江東公会堂の全面改築によって誕生し、本格的な芸術文化に気軽に触れることができます。ほかにも、30年以上続く江東区の冬の風物詩をとも言える「くるみ割り人形」、「開かれた美術館」を目指した東京都現代美術館や国内外の若手の現代美術作品を展示する「ANDO GALLERY」、4名の写真家による「TAP Gallery」など、芸術さんぽも叶います。深川地区で催される深川八幡祭り、通称「水掛け祭り」は約370年の歴史を誇る下町のお祭りで、江戸三大祭りのひとつとなっています。