【タイよりも多い!】訪日アメリカ人観光客はコト消費攻略に欠かせないお宝市場である。
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本記事は渡邊智美が担当します。
少し自己紹介をさせて頂きますと、私はアメリカのコロラド州に 1 年間留学し、多くのアメリカ人と触れる機会がありました。
今回は、訪日アメリカ人市場について私自身のリアルな体験も情報も交えながらご紹介致します。
訪日アメリカ人市場を分析することの重要性
訪日外国人で多数を占めるのが中国・韓国・台湾・香港といった東アジアの国々。
次に多いのはどこか?と考えると地政学的にも近い東南アジアの国々とイメージする方がほとんどではないでしょうか?
しかし統計データを見つめてみると、東南アジアで最も多い訪日数を誇るタイよりも、訪日アメリカ人の方が多いのです!
加えて訪日アメリカ人は、体験コト消費を志向する欧米系にカテゴライズされます。
つまり欧米系で最大市場を誇る訪日アメリカ人市場を分析することは、我が国の今後のコト消費を考えるにあたり、非常に重要なことなのです。
より詳しく分析してみましょう!
訪日アメリカ人観光客はタイ人よりも多い!
2017 年の国別訪日外国人数を調べてみましょう。下記グラフを御覧ください。
出典:「日本政府観光局(JNTO)」
タイは98.7 万人に対してアメリカは 137.4 万人。
ちなみに地理的距離で比較すると・・・
- 日本-タイ(バンコク)間:約 4,300km
- 日本-アメリカ(ロサンゼルス)間:約 8,800km
2 倍遠いにも関わらず、訪日アメリカ人観光客の方が約 1.4 倍多くなっています。
訪日アメリカ人観光客の推移
次に訪日アメリカ人観光客のこれまでの推移を見てみましょう。
出典:「日本政府観光局(JNTO)」
2011 年は東日本大震災で一時的に旅行者数が減ったものの、その後堅調に伸びていることが読み取れます。
そして 2017 年は 2011 年比の 2.4 倍である 137 万人に達しました。
訪日アメリカ人の観光消費
また国別の年間消費金額という切り口で比較すると、訪日アメリカ人観光客はタイ人の 2 倍も消費しています。
出典:訪日外国人消費動向調査
さらに掘り下げて、1人あたりの観光消費金額に着目してみると・・・
中国に次いで 2 番目に位置しています。なぜこれほど高い水準なのでしょうか??
出典:訪日外国人消費動向調査
訪日アメリカ人観光客の平均滞在日数
アメリカ人の平均滞在数にも着目していきましょう。
出典:訪日外国人消費動向調査
アメリカは日本から地理的に遠いため、せっかくならばと滞在日数を長めにし、様々な場所に行こうと考えています。
実際に消費金額の内訳をみると、他国と比較して「宿泊や移動」に多くの金額を費やしています。
訪日アメリカ人観光客の行き先としてよくあげられるのが、東京、京都、大阪、広島。
ここで、面白いのが、地方都市「広島」が出てくること。
具体的には
- アメリカが投下した核兵器の恐ろしさを伝える 原爆ドーム
- 海上神殿 厳島神社
二つの世界遺産があることから、一度は訪れたい場所となるようです。
訪日アメリカ人観光客はどこの州からやってくるのか?
では、アメリカ人はどの州からやってくるのでしょうか。上位4州は下記のとおり。
1. カリフォルニア州 :33.3%
2. ニューヨーク州:10.0%
3. ハワイ州 :7.6%
4. テキサス州:5.1%
(出典:第19回JNTO インバウンド 旅行振興フォーラム 配布資料より作成 データは2017年)
(1)カリフォルニア州
訪日アメリカ人観光客の最も多い出発地が、カルフォルニア。なんとアメリカ人の 3 人に 1 人(33.3%)がカルフォルニアから出発しているという高割合。
理由は下記 2 点。
1、 日本からの距離が他州と比較して近く身近に感じる
2、 航空便数が多数出ている
ちなみにカルフォルニア州ロサンゼルスのダウンタウン内にはアメリカ最大の日本人街 Little Tokyo という町が
あります。
私も実際に足を運んだことがあるのですが、街の中に入ってみると、まるで日本にいるような錯覚に陥るほど。
実際日本人が作る日本食を久しぶりに食べることができました。歴史的に発祥が 19 世紀末と古く、カルフォル
ニアの人にとって日本文化は馴染みやすい土壌があるわけです。
(2)ニューヨーク州
ニューヨーク州にはアメリカ最大の都市ニューヨークがあります。
その人口はカルフォルニア州ロサンゼルスの
約2倍、約 800 万人。
JNTO もニューヨークを中心に訪日プロモーションを展開しており、訪日アメリカ人観光客の 10
人に 1 人はニューヨーク州です。(10.0%)
(3)ハワイ州
日本人にとってハワイは非常に身近に感じるアメリカ。
その逆もしかりで、ハワイ在住者にとっても日本は身近
に感じるエリアとなっています。
またハワイには日系移民も多くいることからカルフォルニア同様、日本文化に馴染みやすい環境が整っています。
ちなみにアメリカ最大の人口を抱えるカルフォルニア州の人口は 3,725 万人。
対してハワイ州全体の人口は 136 万人
(2010 年国勢調査)
人口規模では約 27 倍も差があるわけですが
人口あたりの訪日比率で考えるとハワイ州がカルフォルニア州の 6 倍も高くなっています。
(4)テキサス州
テキサス州は米軍基地が多くあることから軍人の比率が高いです。そういったバックグランドから日本滞在経験者も多くいます。
また第二次世界大戦中 ヨーロッパ戦線で孤立したテキサス州兵 211 名を日系人部隊が命懸けで救った歴史があり、日本好きな方が多いエリアです。
さらにテキサス州にあるダラス空港は世界3番目の総発着数を誇る空港。交通の要です。
余談ですが、最近ではテキサス州の都市 テキサス-ダラス間を結ぶ鉄道建造計画が進行中。ここに日本の新幹線鉄道技術が導入される予定。
私たち日本人にとってテキサスはあまり馴染みがない土地ですが、テキサス州の人にとって意外と日本は身近な存在なのです。
アメリカ人はどのように日本の情報を入手するのか?
では訪日アメリカ人観光客は実際どのように日本の情報を入手しているのでしょうか?
実はエリアによって情報の入手方法に違いがみられました。
(1)カリフォルニア州の場合
カリフォルニアでは 日本人と知り合う機会が多い環境にあります。
また、訪日経験のあるアメリカ人も身近にいることから友人知人経由でリアルな情報を入手できます。
(2)ニューヨークの場合
アメリカ最大の都市ニューヨークは情報社会。ガイドブックや雑誌・政府系の情報サイトなと幅広い媒体から情報収集する傾向にあります。
(3)両者を比較して
私はコロラド州というアメリカでもカントリーサイドのエリアに住んでいましたが、友人に聞いてみたところ
全体的に友人知人からの情報や、現地で出会った人からの情報を大切にする傾向がありました。
ニューヨークだけ少し特殊ですが、人的なつながりが訪日動機を強く喚起させるにおいては重要です。
アメリカ人の訪日動機
JNTO によると、日本食、芸術、武道、ポップカルチャーを目的としてくるアメリカ人観光客が多いようです。
実際私の友人に聞いてみると、日本の伝統的でかつ美しいものに惹かれている方が多い印象。
例えば、厳島神社、伏見稲荷。この二つはとても惹かれるポイント。
一方東京は、ニューヨークみたいな都会 とある程度予想が立つエリア。東京に数日いると、アメリカ人はオープンスペースが好きからか、北海道に行ってみたいと考える人が多いです。
まとめ
欧米系の中でも訪日アメリカ人観光客は最大のマーケット。
そしてアメリカ人は人づてに入手した生の情報を重視する傾向があります。
そこで課題となるのが、英語でのコミュニケーション。私たち日本人はどうしても、話すことに抵抗がありますが、よく考えてみてください。
見ず知らずの外国に行った際、現地の方が少しでも日本語で話しかけてくれたら安心しませんか?
アメリカ人も同じで拙い英語だとしても話しかけてくれたらとても喜びます。
日本にきてくれているということは、日本が好きだからきてくれています。
積極的に話しかけて、情報を教えてあげましょう。そして、アメリカ人はその言葉を信じて行動します。
また、データが示す通り交通費に対しても抵抗なくお金を出してくれる方々。地道に地方の魅力を伝えていけば、地方への誘客も十分可能です。
今日の一句
”コト消費 狙い目市場 アメリカ人”