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2017/04/17 体験プログラム紹介

【モノからコト消費へ】地域が潤うインバウンド体験型プログラム・コンテンツの作り方

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    そのインバウンド施策合ってますか??

    突然ですかみなさん今実施・計画中のインバウンド施策、本当に合ってますか?私自身日本各所からの依頼でアドバイスに伺っていますが、正直に申し上げてインバウンドマーケットのトレンドを正しく理解せず展開されているケースが非常に多く、とても残念な気持ちになります。

    本記事では、日本はもとより世界中の旅行ビジネスの成功・失敗事例を見てきた経験から、

    • 類型化した最新のトレンド
    • 域経済活性化のための成功へのヒント

    をお伝えいたします。

    訪日観光客数はオリンピック後失速するのか?

    下記はこれまでの訪日観光客推移と日本政府が立てた目標値を示したグラフです。

    (出典:日本政府観光局(JNTO)統計データより作成)

    お客様からよくお聞きするのは、「インバウンド市場は2020年のオリンピックを境に失速するのではないか?」というご意見。しかし弊社としては「オリンピック後も伸び続ける」というスタンスです。

    理由は下記の通り。

    1. 世界的、特にアジア圏における観光交流人口拡大
    2. LCC(格安航空会社)普及による移動容易化
    3. アジア圏の所得水準増大
    4. 政府によるビザ解禁やプロモーション充実
    5. 日本各地の埋もれた観光資源
    6. アジア圏の高い日本観光意欲

    2020年を目標に日本全国でインバウンド受入体制が強化されていけば、

    • 海外に日本ファンが根付く
    • 地域経済の産業としても定着化

    が進み、市場がさらに拡大していくことは間違いないでしょう。

    (例)タイ人の海外旅行トレンド推移。日本が急上昇しています。

    (出典:JNTO訪日旅行データハンドブック2016 より作成)

    爆買い終焉 モノからコト消費へ

    2015年に流行語大賞も受賞 した「爆買い」ですが、2016 年には一気に失速してしまいました。その最大の理由は、中国政府による海外購入品の持ち込み課税強化。

    その他、円高効果や 中国国内での「日本商品販売網普及」の流れもあり、日本でわざわざ買い物をするトレンドは一気に萎んでいきました。

    ところが、中国含め各国の2016年訪日観光客数は過去最大を更新しています。つまり、訪日観光客数は増えている中で、その目的がシッピング(モノ)から別のコトにシフトしているのです。

    その最大の需要が「体験型消費 (コト消費)」。訪日観光客が個人 観光客化やリピーター中心に変化したことで、日本各地で体験メニュー(コト消費)が増大し、トレンドが一気に変わってきています。

    求めるのは、ザ・ご当地体験

    読者の皆様は、海外旅行先で何をしたいですか?

    タイ:トムヤムクンを食べて、マッサージして、王宮を見て、象に乗って…
    韓国:焼き肉やサムゲタンを食べて、エステに行って、韓国のりを お土産で買って…
    オーストラリア:コアラやカンガ ルーを見て、オージービーフを食 べて、オペラハウスに行って…

    など、旅行先の国でぜひやってみたいとイメージする「ご当地体験・コト消費」 があるはずです。

    特に初めてその国を訪問するのであれば、より体験したい意欲が高まることでしょう。逆説的に考えると、 訪日観光客も同様の需要を日本国内に求めていることが想像できると思います。

    これからのコト消費需要3大テーマを見逃すな

    訪日観光客需要を考えると、日本でしかできないザ・ご当地体験を提供すれば、成功への近道になるはずです。では、どのような「コト」が実際に日本のイメージとしてあるのでしょうか?求められるのは、次の3大需要です。

    ①日本文化の生活体験

    忍者・侍・着物・舞妓・相撲・茶道・華道・書道・座禅・陶芸など、日本文化の体験は強い需要があります。
    浅草や京都(清水寺界隈)には外国人向け着物レンタル店だけで、数十軒もの店舗がひしめいています。
    舞妓着付け写真撮影や舞妓さんとの懐石プランであれば、単価が2〜3万円以上でも充分に予約が入っています。
    食では、日本のラーメンやしゃぶしゃぶ、寿司握り、また、マグロの解体ショーが代表的。
    さらに、築地市場巡り、東京の谷根千や砂町商店街などの下町情緒あふれるエリアへの散策プランも人気が出ています。

    ②ポップ・クールジャパン体験

    ロボット教室、ロボットショー、コスプレ・メイド写真撮影などの先進技術やポップカルチャーを求める訪日観光客も多いです。

    ロボットレストラン(新宿区歌舞伎町)でのロボットダンスやバトルショーは、ディズニーランドよりも高額な8千円にも関わらず大好評。

    日本のアニメは、各国で人気が定着しており「三鷹の森ジブリ美術館」(東京都)や「コナンミュージアム」(鳥取県)は訪日観光客で溢れています。

    また、「ドラえもん」「ちびまる子ちゃん」「アンパンマン」「キティちゃん」「NARUTO」「ワンピース」「ポケモン」などのキャラクターも人気で、体験型でプログラム化した施設は集客効果が上がっています。

    さらに、2016年にヒットしたアニメ映画「君の名は」は、アジア圏(台湾、中国、タイ、香港)でも人気を博し、その舞台とされる岐阜県飛騨市に訪日観光客が殺到している現象は見逃せません。

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    ▲2017年2月 バンコクにて開催されたタイ旅行博TITFで注目を集めていた「君の名は」ブース

    ③自然とローカルな体験

    単純なゴールデンルート(東京、富士山、京都、大阪)ではなく、地方の需要も増しています。

    「高山・白川郷・アルペンルートを通る〝昇龍道〟と呼ばれるコース」は、東南アジア圏では、訪日2回目には必ず訪れたい場所であり、北海道も相変わらずの人気を保っています。

    また、より「画」になるエリアは訪日観光客ウケしています。例えば、新倉山浅間公園(山梨県富士吉田市)は「富士山と京都風な景色が撮れる場所」としてタイ人が殺到しています。

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    ▲新倉山浅間公園。4月は桜で満開に。SNSの拡散きっかけでタイ人が殺到します。

    特に、田園風景や花畑、伝統的建造物がしっかり残っている条件を満たした場所に注目が高まっています。体験系では、かまらくら、釣り、果物狩り、古民家宿泊がキーワードです。

    広島〜愛媛を結ぶ「しまなみ海道」のサイクリングツアーも台湾人を中心にブームとなっています。
    動物とのふれあい体験も需要が増してます。ネコのたま駅長で知られる和歌山電鉄の貴志駅や、ウサギで注目される広島の大久野島は香港人などに人気です。サルでは、嵐山モンキーパーク(京都府)や、配膳をするサルがいる居酒屋「かやぶき」(栃木県宇都宮市)にも多くの訪日観光客が訪ねています。

    ▲かやぶき訪問時の写真。詳細レポートはコチラ

    このような、日本でしか会えない動物との触れ合いも、人気のコト消費体験コースになっています。

    本気で作り込みをした「コト消費プログラム」だけが生き残る

    以上の3つの視点から、訪日観光客が求める体験をしっかりとプログラム化できれば、集客して利益を出すことは十分に可能です。ただし、類似したプログラムが増えているのも事実。

    一時的な流行に踊らされることなく、訪日観光客に喜んでもらえるように本気で作り込みをした「コト消費プログラム」のみが生き残ります。

    生き残る体験プログラムとは?

    では、地域に眠った資源を持続的に稼げるようにする体験プログラムとは、一体どのような「コト消費」なのでしょうか?そのポイントは次の2つです。

    ①ターゲットを明確にし相手目線で提供

    まずは、周辺の地域・施設のインバウンドの受け入れ状態を調査し、固有の地域資源を洗い出します。その上で、ポテンシャル分析が必要になります。日本政府観光局(JNTO)や各自治体のデータもありますし、当社も提供をしています。そして、それらの収集した情報を元に戦略を練ります。

    それは

    • 「誰に」
    • 「どのような体験を」
    • 「どのように提供するのか」

    を、明確にする作業になります。

    例えば、アジア圏からの初訪日観光客の滞在日数は1週間程度であり、色々なことを広く浅く体験したいのが正直な要望です。30分〜1時間の少しだけ体験の需要が大きいです。価格帯は2〜3千円前後が一つの相場。

    また、アジア圏でもリピーターや富裕層、および欧米豪からの訪日観光客は、よりホンモノ志向で少々料金が高くても歴史や文化的背景を深く理解した上での体験を探し求めています。

    このように国や属性などターゲットを予めきちんと想定して、その人々が喜んでくれる 演出、時間、価格 を明確にしていくといいでしょう。どっちつかずの中途半端な内容にせず、スタートはターゲットを一定の国に絞り、少しずつ拡げてバージョンアップしていくことを推奨します。

    ②フォトジェニック&SNS拡散

    求められているのは「誰かに自慢したい」 「誰かがやっていて自分もやってみたい」 と思っていた体験です。それをFacebookやインスタグラム、twitterなどのSNSでシェアしたいのです。したがって、フォトジェニックな(写真映えする)体験になるように提供側も意識する必要があります。

    特にアジア圏の観光客の場合、SNSでシェアすることが主目的で体験しているケースもありますので、提供側は次の準備をすることが大切です。

    • どこが写真映えするか考える
    • 写真撮影の仕掛けを作る
    • 写真を撮ってあげる
    • 写真をネットにアップするためのWi‐Fi環境整備

    某施設では、店舗前にちょっとした顔ハメパネルを設置したところ、来店率が10%以上も上がったというデータもあります。11016121_449148721926104_7743032846555389963_o

    ▲仮装しておりますのは弊社社員です。体を張っております!

    他にも、スタッフの服装を浴衣にする、法被や被り物を貸し出すなど、少しの演出でもSNS拡散の可能性は上昇します。また、その場でSNS拡散や旅行サイトのトリップアドバイザーなどに感想を書いてくれたら、特典をプレゼントするのも効果的です。

    先手必勝!生き残る地域ブランディング

    需要に対して受け入れ側が追い付いていないのがインバウンド市場。どこよりも早く準備して、徹底的に本気になって改善し続けた地域は確実に成功をつかんでいます。

    この潜在性に気づき、

    「地域に眠る資源」 × 「マーケットトレンド」

    をクロス分析し、コト消費体験プログラムを作成してください。

    そして、日々ブラシュアップし、ご当地ならではのホンモノ体験に昇華させてください。そうすれば、今よりも多くの外国人観光客が日本各地に来訪して、感動コト消費をしてくれるでしょう。日本各地固有の文化や風土が資源となり、持続的に稼げる地域が日本中に溢れてくれればこの上ない幸せです。

    今日の一句

    ”眠る資源 先手必勝 掘り起こせ”

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