壮大な自然と”カムイ”が教えてくれた、これからの自分の生き方。「サステナブルツーリズム in 北海道・阿寒摩周」体験レポート
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みなさんこんにちは!
Attractive JAPANのまったけです。
私、普段は瀬戸内海エリアを中心に、地域のみなさんと一緒に「アドベンチャーツーリズム」や「サステナブルツーリズム」の切り口での商品造成やマーケティングを行っております。
そんな私が、壮大な自然を誇る北海道は「阿寒摩周エリア」で開催された2泊3日のサステナブルツーリズムツアーに参加してきました。
感動、出会い、何より自分の中の価値観が変化した旅…
みなさまにもそんなツアーの様子をお届けしながら、阿寒摩周エリアのよさ、そしてサステナブルツーリズムについて知っていただけると幸いです。
そもそもサステナブルツーリズムって?
日本語では「持続可能な観光」といいます。
急激な近代化の中、観光といえば、これまではマスツーリズムが主流でした。
しかし、環境破壊や地域コミュニティへの悪影響など、必ずしもいい面だけではありませんでした。
(乱開発・ごみ問題・観光客と地域住民のトラブル・etc)
サステナブルツーリズムは、地域の文化や自然環境に配慮をしていきながら、住む人と訪れる人の双方が豊かになることを重要とした新しい旅の在り方です。
最近では、「SDGs」というワードを目にすることも増えましたが、まさに時代や価値観の変容で生まれた言葉であり、これからの地域社会を支えうる重要なテーマだといえます。
それでは早速、ツアーのようすをご覧ください!
「起」承転結:旅の幕開け
−−−羽田空港から約2時間。女満別空港に到着。
旅のはじまりは、今回の旅のコンセプト紹介から。
今回のツアーコーディネーターからスライドを用いた説明を受け、道東に来たんだという実感、そしてワクワク感がこみ上げてきます。
私の言葉で語るよりも、実際のスライドをいくつかご覧ください。
−−−みなさんは何を感じますか?
「起」承転結:いざ、冬の大自然の中へ!
−−−ツアーコンセプトの世界観に引き込まれ、早くも現実世界に飛び込みたくなります。
そして最初に訪れたのは、「屈斜路湖」とその湖畔にある「和琴半島」でした。
旅の案内人は作田純氏。
作田さんご自身も、北海道の魅力に惹かれて移住されて約20年とのこと。
長年のご経験から、自然や地域文化のことを熟知されています。
夕焼け〜夜の帳が降りるまでの時間帯がとても幻想的でした。
半島に暮らす動物の痕跡を見つけたり、植物の生命力の強さを学んだり、屈斜路の自然環境が生み出した自然美を探したり…
本ツアーの一発目、早くも自然の豊かさに圧倒されました。
起「承」転結:「アイヌ文化」に接し、自然と文化の輪を感じる
−−−1日目のお宿は、随所にアイヌ文化の要素が散りばめられた「丸木舟」。
この地で採れた食材を、アイヌの伝統料理のエッセンスを生かして美味しくいただきます。
−−−食後に上演されたディナーショーが圧巻でした。
アイヌと現代音楽が融合した演奏。
アイヌの人々は古くから、自然のあらゆるものに魂が宿っているとし、カムイ(神)として敬ってきました。山の神、水の神、木の神…
この世界は、人間とカムイがお互いに関わり、影響しながら成り立っているものとして考えられていたのです。
(実際にカムイという言葉は、旅の中でも土地や動物などに多く登場してきました。)
音楽と踊りを通して、「自然と共に生きている」という、かつての人間には当たり前だったが現代人が忘れかけているような、そんな強いメッセージが伝わってきます。
日本独特の「神道」でも、森羅万象に神が宿ると考えられ、我々の祖先も自然と八百万の神々に敬意を払って生活をしてきました。
現代社会に暮らす我々はそういった感覚を忘れてしまいがちですが、日本人にDNAレベルに刻まれているであろう「何か」を呼び覚まされるような感覚に陥りました。
−−−大満足のディナーショーの後は、丸木舟のすぐ裏、屈斜路湖のほとりにある「コタンの湯」へ。
天然の露天風呂は目の前に屈斜路湖、頭上には星空を望みます。
心も身体も芯から温まり、この日はぐっすりと就寝…
起「承」転結:今だけ・ここだけ・あなただけの自然体験
−−−夜が明けました。
2日目はより本格的な冬の北海道の自然を体験していきます!
まず体験したのは、屈斜路湖から始まる釧路川の源流部を下るカヌーツアー。
真冬でも凍らないこの川では、この季節ならではの白く幻想的な景色が広がります。
案内人は吉田聡氏と、2匹のワンちゃんたち!
真冬のカヌー体験、一見想像できないかも知れませんが、防寒着の貸し出しもバッチリで、川辺では温かいホットチョコレートも淹れていただきました。
むしろ、寒さそのものすらを楽しみながら、今だけ・ここだけの「冬の釧路川の幻想的な自然美」を見ることに、大きな価値と感動がありました。
−−−次に体験したのは摩周湖スノーシューツアー。
昨日に引き続き作田さんのガイドのもと、新雪が降り積もる山道をスノーシューで進んでいきます。
目的地は、作田さんイチオシのとあるスポット。
摩周湖を「横の大パノラマ」で見下ろすことが出来る、秘密の場所です。
その場所に行けるのも、木々や植物の上に雪が降り積もる今の時期だからとのことで、その「とっておき体験」に嬉しくなります。
摩周ブルーと言われる独特な「青色」と雪景色の「白色」のコントラスト、そしてそのスケールの壮大さに圧倒されました。
自分の足で頑張って登ったからこそ見られるこの景色。
達成した満足感も合わさり、心からオススメしたい体験です。
ふわふわのパウダースノーの上を歩くスノーシュートレッキングは、心が洗われるひと時。
歩くだけでなく、坂を駆け降りたり、雪にダイブしたり。
周りに誰もいない自然の中で深呼吸をすれば、冷たい空気が肺を満たし、心はリセット。日常からの開放を感じます。
1日目の和琴半島に引き続き、作田さんの素晴らしいガイドに感謝です。
起承「転」結:安藤誠氏と出会い、自然の中で価値観を見つめ直す
−−−2日目の夜は、アウトドアマスターガイドの安藤誠氏が運営するヒッコリーウィンドへ。
自ら建築を手掛けたロッジやギャラリーは、自然との調和、そして安藤さんの世界観がヒシヒシと伝わってきます。
北海道の食材による手料理に舌鼓を打ったところで、翌日は早朝から釧路湿原での自然観察を予定。
普通なら夕飯を食べて、翌日に備えて就寝するところですが、ここで「ガイドミーティング」を行いました。
このガイドミーティングこそ、まさに今回のサステナブルツアーの「転」。
この旅は単なる自然ツアーではなく「サステナブルツアー」です。
北海道の壮大な自然を見ることが目的ではありません。
旅を通して何を感じ取るのか。どんな価値観が芽生えるのか。これからの生き方がどう変容するのか。
自身が変わっていくことで、これからの自分自身、周りの人や自然環境、地域社会に対して「サステナブル」なプラスの影響を与えられる人になっていく。それも重要な一面だと考えています。
そのためには、時には一度自分の中の固定観念を崩すことも必要ではないでしょうか。
安藤さんとのミーティングでは、いい意味で、これまでの自分の経験で形成された考え方・価値観を崩していただきました。
アウトドアマスターガイドとして、プロの写真家として、人と自然の織りなす世界を最前線で見てこられた安藤さん。その哲学や考え方。安藤さんとの対話は、凝り固まった考え方をほぐし、新しい見方・考え方を注いでくれます。
−−−言葉では表現しきれない、大変エネルギーを貰える時間でした。
気になる方は是非ヒッコリーウィンドまで、安藤さんに会いに行ってみてくださいね。
−−−翌朝6時前。まずはタンチョウを観察しに、秘密のスポットへ向かいます。
川の水温は冬の気温より温かいため、タンチョウは川に入りに集まってきます。
タンチョウのことだけではなく、安藤氏は人と自然の関わりについて語りかけてくれます。
ここで、とても印象に残った話を一つ紹介させてください。
アイヌの人々は古くから、自然のあらゆるものに魂が宿っているとし、カムイ(神)として敬ってきました。この世界は、人間とカムイがお互いに関わり、影響しながら成り立っているものとして考えられていたのです。
みなさんは「ヒグマ」についてどんなイメージを持っていますか?
残念ながら、我々現代人の多くが「危険で駆除されるべき動物」という印象を抱いているかと思います。
(2019年度には711頭ものヒグマが殺処分されたそう…)
しかしアイヌの人々は、ヒグマこそ、山の恵みをもたらす神として敬ったのです。
山の食物連鎖のピラミッドは、「植物」→「昆虫」→「鳥類やネズミ等」→と続きます。
そしてその頂点は、ヒグマではなく、キツネや猛禽類なのです。
ヒグマの多くは実は草食中心ということも、意外と知られていないですよね。
アイヌの人々は、この山の食物連鎖のピラミッド全体、すなわち山そのものの神として、ヒグマを「キムンカムイ(山の神)」と敬っていたとのことです。
実際に、行動範囲の広いクマは消化されなかった木の実を糞として広範囲に落とすことで山の樹木拡散に貢献するなど、まさに豊かな山の生態系には欠かせない「カムイ」の存在といえるのです。
−−−どうでしょうか?
多くの現代人から見えるヒグマと、アイヌの人々から見えるヒグマ。
物事をどう捉えるかは人それぞれですが、新しい視座を得ることが大事ではないでしょうか。
さて、その後も自然観察は続きます。
普段はまず見ることの出来ない野生の動物たち。
特にタンチョウは、まるで人間のような素振りをたくさん見せてくれます。
−−−家族や夫婦で常に寄り添いながら、共に行動をしているようす。
−−−若い夫婦はお互いの距離も近いが、長年寄り添った夫婦は微妙に距離が空いているようす。
−−−求愛する雄、それを「興味ないわ」と言わんばかりにスルーする雌。
自然の恵みの中で暮らし、愛を育むその姿に、生物としての在り方を学ばせてもらったような気がします。
そして、便利になり過ぎたこの社会ですが、改めて我々はこの自然の中で生かされていることを実感をします。
アウトドアマスターガイドの安藤氏のコーディネートと素晴らしい解説により、とても貴重な体験をさせていただきました。
見ること以上に、考えさせられることが多かった1日でした。
起承転「結」:旅を振り返ると、世界の見方が変わっていた
−−−最後に、今回の旅の振り返りをしました。
全員で輪になって、お互いが感じたことを共有します。
私を含め、参加者はみな「価値観が変わった」「人生のターニングポイントになった」と、この旅を振り返っていました。
まだまだ未熟な私にとっては、自分の感じたことを一言にまとめることは困難です。
が、今の自分なりにまとめてみると、「全ての物事に感謝し、愛を持って生きること」。
どんなに便利な社会になったとて、我々は自然の恵みなくしては生きることは出来ません。
だからこそ、アイヌの人々は自然を「カムイ(神)」として敬い生活をしてきたのでしょう。
この目線を持つことで、今まで見えなかったものが見えてくるようになります。
人間、何もない世界で一人で生きていくことは出来ません。
周りにある自然の恵み、そして人と人との関わりがあってこそ生きている。
そのことに改めて気付かされ、自分が今生きていけていることに感謝をし、全ての物事に対して、自分自身も愛を持って接していきたいと感じました。
この考え方こそ「サステナブル」の本質なのかも…?!
−−−壮大な自然が広がるこの北海道の大地は、それを感じるにはうってつけだったのでしょう。
漠然とでも強くでも、「変わりたい!」と感じている方、是非この旅はいかがですか?
サステナブルツーリズムについて今感じていること
−−−最後に「サステナブルツーリズム」について、旅を終えた今、改めて感じていることをお伝えできればと思います。
サステナブルツーリズムは、いわゆるこれまでの「観光」とは少し異なります。
もちろん旅の中に「楽しい!」「美味しい!」「新鮮!」という娯楽としての醍醐味はありますが、それ以上に「自分の内面(心・価値観)が変容する」ことが旅の価値だと感じます。そして自分の変容は、これから先の自身や他者にも永く影響していくでしょう。
これを「旅」としてお客様に提供することは、非常に難易度が高いです。
地域の歴史・文化をしっかりと理解し、そこに暮らす人とのネットワークを築き、それをお客様目線でしっかり編集・コーディネートしていく。そしてその旅は、地域の過去や未来にとって本当にいいことなのか、常に自問自答しなければならない。
(今回は「北国トラベル」事業をされている北国からの贈り物㈱のみなさんが素晴らしいコーディネートをしてくれました!)
しかしそれはこれからの時代、特に地域社会にとっては、是非挑戦すべき、とても意義ある観光モデルだといえます。
- わざわざ高いお金を払ってでも行きたい旅であるが故に、高単価&少人数のモデルが成り立つ
- 地域性が強いことで、「ここだけ」の魅力が高まると共に、域内消費もどんどん生まれる
- 地域の環境や文化を理解する人が増えることで、後世へのバトンタッチに繋がる
- 旅に参加した後も自分自身、そして周りにプラスの影響を与え続ける
−−−地域の経済的持続・文化的持続・環境的持続、それらを実現する一つの方法として、全国・全世界のあらゆる地域でこのサステナブルツーリズムが生まれていってほしいと強く願います。
どんな地域にも、その地域ならではの「DNA」があり、そこから生まれた「文化・価値観」があります。
それを愉しみながら学び、成長もしていけるし、地域もハッピーになる…
これってすっごく素敵じゃないですか…?!
ツアーに参加したい方はこちらへ!
今回のサステナブルツアーに興味がある方は是非以下ページからお問い合わせください!
http://npwhokkaido.jp/?fbclid=IwAR2uIyNd0SLMPSxFvietsLEn9quW84TxIRvqOt5hPRe_UshOHmiOByb351E
以上、「サステナブルツーリズム in 北海道・阿寒摩周」をお届けしました!
ここまで読んでいただいたみなさま、ありがとうございました。