なぜアメリカ人ファミリーは旅行先に日本を選ばないのか?アメリカ人ファミリーが体験に求めること
目次 [非表示]
皆さん、こんにちは!地域ブランディング研究所のアメリカ人スタッフ、レイシーです。
インバウンド訪日客のうち、アジア諸国に次いで多いのがアメリカ人です。以前ご紹介した記事では、日本に来るアメリカ人の全体的なデータなどについて書きましたが、近年では「一人旅」で来る人が多いという結果でした。
訪日アメリカ人はどんな人が多い?本当にターゲットに刺さる体験コンテンツとは?
一方で、アメリカ人旅行者全体のデータを見ると、実はアメリカ人旅行者は、ファミリーで旅行する割合が多いようです。それではなぜ今、日本に来るアメリカ人ファミリーが少ないのでしょうか?家族旅行に、アメリカ人は何を求めているのでしょうか。
家族旅行データ
(参照:Family Travel Association「US Family Travel Survey 2017」)
アメリカ人約3億2千万人のうち、1億人ほどが、夏に家族と旅行の予定を立てています。家族旅行は、2017年の3億回から2022年までに25%近く増加し、年間3億7600万回になると予想されています。このデータを見ても分かるように、日本にとってもアメリカ人家族旅行者は、かなり重要なマーケットになります。
旅行する時期は、アメリカでは5月末から8月が多いです。一般的に、諸外国では7月にピークを迎えることが多いのですが、アメリカではこれより1ヵ月ほど早くピークが訪れます。その理由は、学校が夏休みの間にファミリーで旅行することが多いからです。会社員も、この時期によく有給休暇を使います。
年齢層でみると、ミレニアル世代(22~38歳)の家族では、64%が海外旅行をしています。ミレニアル世代は比較的若い世代ですが、日本に来ているファミリーはそこまで多くありません。また、海外旅行先のデータを見ると、メキシコとイタリアが人気となっています。これらの国の夏の平均気温は約25°Cのため、家族が温暖な気候を好むことが理由のようです。
今後、日本でファミリー層の顧客をもっと掴むためには、アメリカのトレンドをしっかりチェックして、お客様が求めているような体験を作ることが大事です。
家族旅行のトレンド
家族旅行の計画を立てる95%の人が、みんなが喜ぶような場所や体験を優先して探しています。
家族旅行のトレンドTop10は、以下の通りです。(参照:Virtuoso「Luxe Report2019」)
1位:冒険旅行とアクティブな休暇
2位:多世代旅行
3位:ビーチリゾートでの休暇
4位:お祝い旅行
5位:ツアー
6位:母と娘または父と息子の休暇
7位:文化的な休暇
8位:オーシャンクルーズ
9位:教育休暇
10位:リバークルーズ
バカンスを楽しんで過ごすような旅行が人気となっていますね。
そのため、家族と子どもたちをターゲットとして考える際は、子どもたちの満足度も考えないといけません。アメリカの子どもたちは勉強になることよりも、喜ぶような観光を求めています。
体験はインタラクティブに
ここで気をつけないといけないのは、学び要素のあるコンテンツです。教育と勉強の考え方は、日本とアメリカでは全く違います。日本では体験コンテンツに、レクチャースタイルが含まれていることが多いですよね。アメリカでは学び分野においては、インタラクティブ(相互作用のある、双方向の、対話型)のスタイルが多いのが特徴です。そのため、日本によくあるレクチャーのような体験はアメリカ人の子どもたちには馴染まない可能性が高いのです。
インタラクティブな体験とは、例えばアドベンチャー体験(SUP、カヤック、スキーなど)や、ものづくり体験です。お互いに間近で会話を交わしながら、反応を確かめながら進めることができますよね。ただ、多くの体験の場合、最初の説明の時間が長いので、話が終わるのを待っている間に子どもが退屈してしまいます。同じ理由で、ターゲットが若けば、若いほど(15歳以上であれば可能ですが)ただのWalking Tourは売れにくいことも分かっています。
体験コンテンツの中に、長い説明がありませんか?それは子どもにとっては満足につながりません。興味を持ってくれない子どもが両親を困らせてしまい、せっかくの家族旅行を楽しむことができなくなってしまいます。
ファミリー向けの体験にするには、説明をなるべく短くしましょう。ものづくりであれば、子ども目線の対応を考えて、楽しませましょう。
ファミリー向けの観光は、いわゆる遊園地などのアトラクションが体験コンテンツの競合になります。一体どうしたら子どもたちに遊園地より、あなたの体験コンテンツが選ばれるようになるでしょうか?素晴らしい体験コンテンツの魅力が伝わるように、子どもでも十分に楽しんでもらえる体験となるように、ブラッシュアップしましょう。
旅行の情報はどこから?
旅行の予定を立てるとき、74%は検索サイトでリサーチし、63%は口コミを参考にしています。場所と体験選びは、友達の紹介いわゆる、SNS(Facebook、Instagram)での口コミに大きく影響されています。家族の49%は、SNSで見た写真に基づいてどこに行くかを決めたと回答しており、前年から10%増加しています。
このようにアメリカ人の家族旅行をターゲットにする場合も、口コミとSNSが体験コンテンツのPRには重要なポイントです。効果的なアプローチについては以前の記事にも書いていますが、ここでも改めてご紹介しますね。
“旅行計画者は、ハッシュタグやロケーションタグで検索します。投稿するときに、うまくハッシュタグとロケーションタグを使えば、旅行先を探している人にリーチすることができます。検索結果から次の旅行先として選んでもらうためには、説明文よりもいい写真であることが重要です。”
WEBツールを駆使してアメリカ人の心を掴み集客につなげるポイント
“インターネット上には様々なコンテンツが溢れており、そのコンテンツに興味があるかどうかの判断にかかる時間は、たった3秒ともいわれています。一度興味がないと判断されると、そのコンテンツは見てもらえません。”
⇓ ⇓ ⇓
“体験コンテンツの写真は「質が高い」「楽しそう」「特別感」を演出するものを載せましょう。”
まとめ
アメリカ人旅行者全体のデータのうち、今後も大きな市場であるファミリー層について、日本のターゲットとするために必要な項目を取り上げ、トレンドを見ていきました。
日本の観光と体験コンテンツには、まだまだ可能性があります。ターゲットに合わせたコンテンツにブラッシュアップしていくことや、効果的なアクションを進めていくことが必要となってきます。できることから始めてみましょう!
■アメリカ人スタッフ、レイシーの他の記事も併せてご覧ください。
・【アメリカ人スタッフが語る】日本の“田舎”に住む理由
・ニューノーマル時代の体験型コンテンツは【サステイナブル×○○】欧米客は付加価値を探している!
・アメリカ人の食文化とは?