城下町・小牧から世界のてっぺんへご招待
かの織田信長が築きし城、小牧山城。その麓には城下町の先駆けとして産声をあげた、現在の「小牧」があります。城下町としての由緒もさることながら、このまちではさまざまな先進的なチャレンジがおこなわれています。例えば小惑星探査機「はやぶさ」。小牧には航空宇宙産業が集積し、探査機を支えた技術の髄がここから芽吹いています。ほかにも気候的にブドウ栽培が難しい小牧で、社会福祉としてワイン醸造を行なっている「小牧ワイナリー」など、食文化でも小牧はチャレンジをしています。頂上に立つものは、希望を抱いて山の頂を見上げ、壁に当たりつつものぼりきる。そんな想いに満ちた小牧でチャレンジする方々に話を伺ってきました。
食で日本一を目指し、人々を笑顔にする試み
濃尾平野に位置し、雨量が多くぶどう生産が難しい小牧。「小牧ワイナリー」代表の白井さんは、社会福祉の立場から小牧でぶどう作りからワイン醸造に挑戦しています。ワイン生産の現場では、障害を抱えた方々がボトリング作業などで貢献。障がい者の方々が働く意義を見出し、一般就労すること。そしてワイナリーが小牧を盛り上げる存在とすること。その2点の実現に、白井さんはたくましく挑んでいます。また、「河瀬養鶏」の河瀬さんはコーチン卵の栽培に挑戦。名古屋コーチン発祥の地でもある小牧で、コーチン卵の美味しさを知ってもらおうと、自然の風や光を取り入れた開放鶏舎・特注の上質な餌を用い、コーチンの飼育に取り組んでいます。
誰にも負けない、音楽への想いの表現に挑む人々
全国に30しかない楽団の1つである、「中部フィルハーモニー交響楽団」でクラリネット奏者として活躍する北野さん。ホールでの演奏だけでなく、市内の学校での演奏や、部活動の指導にも取り組んでいます。子育てと音楽の両立は大変なこと。北野さんが音楽を続けられたのは周囲の支え、音楽への想いがあったからだそう。誰にも負けない音楽への想いを、音に乗せ奏でています。また「中庭音楽祭」という催しでは、古民家の縁側でアコースティック音楽を楽しめます。通りすがりの人が訪れるほどアットホームで、祭をきっかけに結婚した方もいるそう。自然に日常的な環境で音楽を楽しめる場所。主催の井戸田さんは、夢を音に乗せ挑戦しています。
見通せない宇宙産業に、新しいことを仕掛けるわくわく
小牧は宇宙産業に関する企業や工場が15あまり集まる、宇宙産業の集積地です。「中部日本マルコ株式会社」では、航空宇宙産業に使用される小型のコネクタなどを製造しており、業界をリードしています。会社を取り仕切る若き社長、小坂橋さんは、先が見えず、答えのない問いに日々向き合うため、柔軟に変化に対応し、新しいことをやり続けることをモットーとしています。印象的なのは、同社が製造のコネクタを使用した小型惑星探査機「はやぶさ」が無事に任務を全うし、帰還したこと。宇宙探査に深く携われることのすごさを感じたそうです。由緒ある城下町「小牧」。歴史を称えたこのまちからは、日々さまざまなチャレンジが芽生えています。