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上質な「食・住」こそまちの競争力 暮らしを味わえる観光体験をつくる

●磨かれてきた地域文化の誇りを未来へつなぐために

漆器や和紙などの伝統工芸、金沢城跡や兼六園などの史跡をはじめ洗練された文化で国内外から多くの観光客が訪れる金沢。
「町家など歴史ある地域資源が残っている一方で、新しいことに取り組んだり、その活動を受け入れたりする文化的風土が、このまちの競争力の源」と話すのは、金沢で町家を活用した観光事業を展開している株式会社こはく代表の山田滋彦さんだ。
そんな金沢の価値を未来につなぎ、持続可能な地域づくりに貢献したいと考えていた山田さんは、2019年に着地型観光体験ツアーを企画。
しかし、しばらくして世の中はコロナ禍に突入した。「新たな事業にも着手しましたが、いつか訪れるアフターコロナの時代に備え、地域の人たちに前向きな気持ちを持ち続けてもらいたかった。だから、実現可能なかたちで観光事業は続けたいと考えていたんです」。

持続可能な観光のあり方を追求するパートナーとして

そんなとき、コンタクトを取ったのが地域ブランディング研究所(以下、地ブラ)。打ち合わせの末、経済的な負担が比較的少ない観光庁の補助金事業にともに取り組むことにした。
「地ブラさんは、観光に対する考え方が同じだったんです。とにかく人が来ればいいのではない。地域の未来のために持続可能な観光のあり方とは何かを一緒に追求してくれるパートナーだと感じました」。
そして、地ブラは体験型観光コンテンツの開発に伴走。他地域の事例を踏まえて向き合うべき課題の整理や、サスティナビリティに配慮したプランの提案を実施する。また、別事業にも取り組む山田さんの負担を軽減するために、多くの工数がかかるテストマーケティングの実施・検証・販売フェーズも積極的に手や足を動かしながらサポート。その結果、加賀野菜と金澤町家を活かし、「食・住」の観点から金沢の上質な暮らしを体験するツアーが生まれた。
「今の時代、調べればまちづくりの事例はいくらでも出てくるが、どれもいい話ばかり。実際にどんな壁があって、どうすれば乗り越えられるのか、リアルな話を知りたかった。その点、いくつもの現場を経験してきた地ブラさんは、ノウハウ面でも実働面でもとても頼りがいがあった」と山田さんは話す。

観光産業のあり方を変えていく存在へ

「サスティナビリティは、これからの観光のスタンダード。観光庁もそのことを認識しています。時代の要請に応える事業づくりになるよう意識していました」と語るのは、地ブラの担当者・吉田頼将。現地に通い詰め動き続けた結果、今では山田さんは“提携先の担当者”ではなく“共に事業をつくる仲間”として認識しているという。
山田さんは「観光産業のあり方を地ブラさんと変えていきたい」とビジョンを描く。コロナ禍を経て観光のかたちを見つめ直すタイミングがきた今、まず地域の人自身がきちんとまちに魅力を感じられるようにすること。そして、同時に稼ぐ力をつけること。それが持続可能性につながるというのだ。
「地ブラさんとは、その価値観が合致している」と山田さんは話す。「ひとつの地域・ひとつの事業者だけでできることには限界がある。地域同士が協力したり、ノウハウを交換できたら観光産業はもっと良くなるはず。それは全国で奔走する地ブラさんならできると思うんです」。
そんな大きな期待を受けて、地ブラは今日も全国を走り回る。

外部環境に左右されない強固な地域基盤をつくる

  • ・アフターコロナ対応の低負担事業立ち上げ
  • ・持続可能な観光事業構築への取り組み
  • ・観光商品開発の一貫した企画・支援
  • ・他地域事例とノウハウの共有と伴走

山田 滋彦さん

株式会社こはく代表。金沢の文化や自然を体験する着地型観光「In Kanazawa House(イン カナザワ ハウス)」の運営や金沢市民の台所「近江町市場」の旬の食材をお届けするお取り寄せグルメサービス「イチバのハコ」などの事業を展開しながら、金沢の魅力を広めるために尽力している。