【海外レポ】欧米富裕層の金銭感覚・訪日経路は何か?フランスのカンヌILTMで商談してきた。
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欧州富裕層向け商談会に行ってきました。
みなさんこんにちは。地域ブランディング研究所代表の吉田です。
インバウンド コト消費の主役と言われる富裕層。その実態をこの目で確かめるため、12月上旬フランス・カンヌで開催されたILTM富裕層向け商談会に行ってきました!
※ILTMとはInternational Luxury Travel Marketの略称。海外で開催される富裕層向け旅行商談会の事です。
今回直接現地に行くことで、富裕層の金銭感覚や独特の訪日購買ルートがわかってきたので、その様子をお伝えしたいと思います。
富裕層の金銭感覚
まず私が驚かされたのは富裕層の金銭感覚です。
リゾート地に立ち並ぶ巨大クルーザー群
写真は富裕層が多く訪れるリゾート地:南仏コート・ダジュールの様子です。
ご覧の通りおびただしい数のクルーザー&ヨット群。
所有するだけでなく維持することを考えると、とてつもない資産があることが推察されます。
現地を見聞する中で、地中海を大型のヨットやクルーザーで優雅にワインを飲みながら回る富裕層のライフスタイルのイメージが湧いてきました。
別荘の価格
別荘の売出し広告を発見したので聖地に眺めてみました。
- 年会費:9,700ユーロ(約120万円)
- 物件価格:2,300,000ユーロ(約3億円)
ちなみに日本軽井沢の別荘価格はこちら
相場のケタが違うことがわかります。
高級中古車の価格
ビンテージ中古車の広告も発見したので参考まで。
94,900ユーロ(約1,200万円)~259,000ユーロ(約3,200万円)。
単純にこの車と同価格で軽井沢の別荘が買えてしまいますね。
富裕層にはどのようなアクティビティが刺さるのか?
潤沢な資金を有する富裕層の方々ですが、どのようなコンテンツが刺さるのか?
商談中に気づいたことを下記箇条書きで列挙してみました。
- ○ 茶道・武道・宿坊・日本酒・刀鍛冶・相撲・芸者等一定のテーマに関心あり
- ○ 観光地すぎないオーセンティック(そのまま)な日本をみたい需要が多い
- ○ 島での滞在も興味あり。クルーズより島の生活そのもの
- ○ よりローカルとの交流を求める
- × 高野山はフランス人だらけで興醒めする人も出てきている
ガイドブックから見る日本の解像度
フランス人向けの日本ガイドブックを観察してみたのですが、いくつか気づくことがありました。
- 北海道・沖縄が載っていない。
- 東北は地図上に表示されているが地名表記がない
- 広島はMiyajimaで認知されている
私達日本人感覚ですと、北海道・沖縄はアジアの方を中心に広く知られてい類メージがあると思います。また世界で初めて原子爆弾が投下された平和都市広島の知名度は世界的にも圧倒的です。
しかしいずれもこのガイドブックに記載されていなかったことが少し衝撃でした。
このガイドブックだけで判断はできませんが、日本地理に対する理解・解像度は私達が考えているよりもずっと低いのかもしれません。
富裕層特有の訪日旅行ルート
地域のコト消費を海外に売り込む際、OTA(体験予約サイト)に登録することは有効な施策です。(弊社もOTAルートを有しています)
しかしながらそれだけでは富裕層にリーチすることはできません。
というのは、富裕層の人々は直接自分で航空機やアクティビティを予約するわけではなく、専属の旅行会社に要望を伝えて旅行するからです。
また専属旅行会社も、大切なお客様の期待を裏切らないよう、同業者コミュニティ内で流通する信頼担保された情報を元に旅行計画を作り上げていきます。
つまり富裕層に選ばれるためには、専属の旅行会社にしっかり認知・理解されるための地道な人的営業努力が必要なのです。
一方旅行計画は、3ヶ月以上前から余裕を持ってつくられるため、受け入れ側が急な応対であたふたする心配はありません。
プレミアム度を左右するガイドの重要性
造成したコト消費商品自体の内容もとても重要です。
今回の海外調査で特に実感したのは質の髙いガイドの確保。
実際商談中にもこのような意見を頂きました。
・きちんとガイドが歴史や背景を説明しないとつまんない。子供じみた体験と感じてしまう
・日本の体験は内容が薄すぎるので丁寧に説明して欲しい
実際吉田もモンサンミッシェルでガイドを頼んだのですが、話が一方的すぎてとても残念な思いをしました。
日本でガイドというと、地元ボランティアの方が道案内をしてくれるイメージが強いですが、お客様のニーズを汲み取って臨機応変に対応できる高度なスキルがあると専属旅行会社も安心して旅行計画に組み入れることができるでしょう。
まとめ
今回の海外富裕層向け商談会・現地調査を通じてかなり理解が深まりました。
受け入れ側のガイドを中心としたクオリティ向上&地道な販路開拓が我が国の観光立国戦略に大きく活きることは間違いないでしょう。
今日の一句
”泥臭い 地道な取り組み 届く道”