【第1回Attractive JAPAN大賞「SDGs賞」 瀬戸内アイランドツアーのNPO法人アーキペラゴさんにインタビュー!】
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Attractive JAPAN大賞受賞者インタビューのコーナーでは、地域で体験観光をおこなう方々の想いを深掘りしていきます。今回は、SDGsの観点を配慮した今後の体験観光を牽引するモデルを開発され、「SDGs賞」を受賞された、香川県高松市で瀬戸内海の島々を巡る体験ツアーを提供するNPO法人アーキペラゴの三井さんと串田さんにお話をうかがいました。
アーキペラゴの体験ツアーの概要
アーキペラゴでは、2つのツアーを実施しています。豊島の産業廃棄物問題を考えるツアーと小豆島の豊かな食文化に触れるツアーです。これらのツアーでは、私たちが仲良くしている島の方や、島の好きな場所を紹介しています。ツアーでは島の人々が主役なので、どう紹介すればお客さんが島により興味を持ってくれるかを考えながらツアーを行っています。
産業廃棄物が捨てられた場所を訪れる豊島のツアー
瀬戸内海の一つの島である豊島では、1975年から約 10年もの間、処分許可外の大量の有害廃棄物の不法投棄が行われ続けていました。そこで、この問題について人々に考えてもらう機会を増やすために、私たちは、人気の豊島美術館でのアート鑑賞とともに 廃棄物対策豊島住民会議の方の案内で豊島産廃不法投棄現場を訪れる機会を盛り込んだサイクリングツアーを行っています。
ツアーが環境問題を考えるきっかけを生む
ツアーを始める以前から豊島の産業廃棄物問題を考える勉強会を開催してきました。実際に産業廃棄物が埋められていた跡地に行き、問題に立ち向かった人から話を聞くのですが、参加者の方からは、ショックで言葉が出なかったという声をよくいただきました。地元の方であっても廃棄物の問題はニュースで耳にしたことがあるくらいで、何が起きていたのか知らない人が多いのが実情です。このツアーで、都市の生活から出された97万トンもの廃棄物が豊島という小さな島へ廃棄された事実を初めて知り、都市生活者の責任を考えるきっかけとなったという都内の参加者も多くいるそうです。
海外の若者にも豊島の歴史や文化を伝えたい
瀬戸内海の島では2010年に瀬戸内芸術祭が始まったことをきっかけに、徐々に来島者が増え、近年では台湾や香港など海外からも人が訪れてくれるようになっていました。そんななかで私たちは、海外の若者にアート鑑賞だけではなく、もう一歩踏み込んで豊島の豊かさや産業廃棄物の問題について知ってもらいたいと考えるようになりました。そこで、アート以外にも島の歴史や文化を伝える時間を作るためにツアーを始めました。
そうめんづくりなど小豆島の食文化に触れるツアー
小豆島は内海特有の穏やかで美しい海に囲まれ、地中海によく似た温暖少雨の気候を持つ島です。この特徴を生かして、オリーブの栽培や、お醤油、そうめんづくりといった独自の食文化が育まれてきました 。私たちの体験ツアーでは、150年の歴史をもつ醤油蔵「ヤマロク醤油」で、5代目社長の説明を受けながら伝統的な醤油作りの技術やその想いに触れていただきます。その後、小豆島の名産かつ日本の大衆的な麺料理「そうめん」の作り方を実際に作りながら学んでもらうなどして、日本の食文化や里山の風景に体感していただいています。
小豆島のツアーは発見の連続
海外の方は、日本の食文化への関心が高く、特にお醤油に対する反応はとても大きいです。ツアーの中で、手作業でお醤油を作っている工場を見学し、作り手から直接ご案内していただく時間があるのですが、お醤油が出来上がるまでに手間暇がとてもかかることに関心を抱かれます。また、数種類のお醤油のテイスティングをしていただくのですが、種類によってお醤油の味が違うことを学べることも興味深いみたいですね。
小豆島、そして日本の食文化を世界へ
小豆島のツアーでは、自然のチカラで食品を作っている工場群など、実際の現場をご案内し、豊かな小豆島の食文化を伝える工夫をしています。 工場や工房にお邪魔して、できたてのものを食べたりもするので、お客さまには大変喜ばれます。 私たちのツアーを通して、小豆島、そして日本の食文化の魅力に気づいてくれる人が増えると嬉しいです。
ツアー体験を通して伝えたい2つのこと
島の文化を知ると価値観が変わる
ツアーを通して、 参加者の価値観に影響を与えられたらいいなと思っています。島には、近代化が進む中で忘れ去られたものがまだ残っています。例えば、一見黒く汚く見える建物が、お醤油を作るための日本の歴史的な建物である、など都会では発見しにくい日本の原点が島にはあるのです。 そうした日本の原点を、島を訪れて下さった方にご案内する。そうしてお客様に今まで見えなかったものに気づいていただくことで、価値観の転換を図ることがツアーの狙いです。
全てはコミュニケーションから始まる
また、島の歴史・文化・自然・人々などアート以外の島を形づくる背景の部分を知ってほしいという気持ちがあります。そのため、ご案内する時には島の人から様々なお話を聞く機会が設けられるように心がけています。島の人とお客様との間によいコミュニケーションが生まれ、お客さまが島について知りたくなるようなツアーをこれからもつくっていきたいです。
今後の展望
島の人と観光客との関係性を持続していきたい
瀬戸内海は、日本初の国立公園である瀬戸内海国立公園を所有するなどもともとの観光のポテンシャルが高い地域でした。加えて、瀬戸芸術祭をきっかけに、島に行かないと体験できない現代アートが生まれました。瀬戸内海にしかない自然やアートが楽しめる、そうした唯一無二の体験ができるところが瀬戸内海の島々が国外国内を問わず、人々を惹きつけている理由だと考えます。しかし、海外から訪れる人が増えてきた昨今、島にゴミを捨てて帰ってしまう人もまた増えています。私たちは、瀬戸芸が成功した要因には、ゴミを持ち帰ってくれる観光客を見て、島の人々が観光客と良い関係性を築き始めたことも挙げらると考えています。そのため、島の人と観光客との良好な関係性を維持していくためにも、来島者の方へのマナー普及もできたらと思っています。
移住者を増やして活気づいた地域に!
また、瀬戸内海の島々を、都会に暮らす人や若者がますます移住したくなる場所にしていきたいという思いもあります。ここ数年で、男木島には約50人が移住してきました。アートがきっかけで島を訪れた人々が、島に興味を持って移住してくる。そうして移住者が増えていけば、住民の層が若返り、厚くなり、また新たな産業が生まれていくのではないかと考えます。移住者を増やしてそんな活気づいた地域を目指していきたいというのが今後の展望です。
まとめ
アーキペラゴさんのツアーでは、島で暮らす人々とコミュニケーションをとり、日本の生活の原点に触れられることが多くの方から支持される理由となっていました。
ツアーを行う際の工夫としては、
- 口頭で説明するだけでなく、現場を訪れ、当時の人から話を聞ける時間を設ける。
- 主役は島の人々。人と人の交流が新しい気付き生み、ファンをつくる。
- 島の人々と協力し、島にあるものを最大限活かし、伝えていく。
といったことが重要なのだと改めて認識しました!
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