全国体験観光オンラインシンポジウムレポート【第3部 Attractive JAPAN大賞発表】
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『Attractive JAPAN大賞』とは?
地域に潜在的に息づく魅力を体験プログラム化し、観光地域づくりを牽引する取り組みをされている、観光関連事業者や地域を表彰する目的で、今回初めて発表しました。
「Attractive JAPAN」では常時300件以上の各地域の体験プログラムを掲載しており、その中から候補を選出。関係者の推薦、ブッキングデータの伸び率、クチコミ評価、その地域らしさ、関係者の熱意、話題性、地域貢献度等の総合評価により、各受賞者を決定しました。
大賞
受賞対象 :話題性や成果・地域貢献性の最も高かった体験プログラム
受賞者 :sokoiko!(株式会社mint)様
掲載プラン:「広島の街に残る被曝遺産を地元ガイドと自転車で巡るピースツアー」
(https://attractive-j.com/experiences/PKQPWE)
評価ポイント:
宿泊率、観光客の消費額の低さを課題としていた広島に対して「宿泊創出」「地域消費創出」という点で大きく貢献しました。プラン内容としても「広島の過去〜現在〜未来を巡る」まるで映画のような地域ストーリーを編集されており、それらを伝えるガイド育成にも力を入れています。また、積極的に口コミを集めることで TripAdvisorのエクセレンス認証を1年程度で獲得するまでに至ったことも評価のポイントとなりました。
大賞受賞の株式会社mint 代表取締役 石飛様のインタビュー記事はこちら。
地域アイデンティティ賞
受賞対象 :地域固有の資源を商品化して根付いている体験プログラム
受賞者 :公益財団法人 修武館 様
掲載プラン:「日本のサムライ!武道精神を学ぶ!」
(https://attractive-j.com/experiences/PK9USU)
評価ポイント:
230年以上の歴史をもち、日本三大私設道場の一つである全日本なぎなた連盟の本拠地「修武館」の師範から、直々にレクチャーを受けられる体験プログラムを実施。日本武道の礼法を重んじながら、古来の伝統文化である剣道・なぎなた・居合道の基本を守り、日本の精神世界にも触れることができる内容が、地域固有の資源を上手に商品化していると評価されました。
SDGs賞
受賞対象 :SDGsの観点に配慮し、今後の体験観光を牽引する潜在性の高いプログラム
受賞者 :NPO法人 アーキペラゴ 様
掲載プラン:「豊かな島の歴史と自然を感じる1dayプライベート豊島ツアー」
(https://attractive-j.com/experiences/PSHPZB)
評価ポイント:
瀬戸内海における島民の生活・取り組みや自然環境の持続性を第一に考え、ツアー内容においても、参加者と島民が直接交流しながら、その想いに触れることができる体験内容となっています。今後の観光や地域づくりにおいて、SDGsの観点が生かされ、実践されている点で高い評価を得ました。また、豊島の”アート”という現代的、かつ明るい側面だけを取り上げるのではなく、かつての産業廃棄物処理問題にも触れており、参加者が環境問題や文化保全について、自然と考えながら学ぶことができる体験プログラムとして評価されました。
地域イノベーション賞
受賞対象:一丸となって切磋琢磨している地域
受賞者 :株式会社くまもとDMC 様
(※本賞は「地域」を対象としているため、特定の掲載プランはありません)
評価ポイント:
熊本に受け継がれる侍文化を、次世代に残すための活動を続けています。熊本城の再建が進められる中、熊本城を起点に『震災前より活気のある熊本にしたい』という想いで一丸となって活動されていることが評価のポイントとなりました。また「株式会社」として、より収益性・継続性を考慮した活動が熊本経済に貢献している点も高い評価を得ました。
大正大学 地域構想研究所 村橋 克則氏コメント
今回のAttractive JAPAN大賞について、地域活性化のプロフェッショナル、大正大学 地域構想研究所の村橋克則 教授にコメントをいただきました。村橋さんのプロフィールはこちらです。
㈱リクルート入社国内旅行情報(じゃらん)事業部 東海じゃらんネットの立ち上げを担当。編集局長と事業部長を歴任。その後、観光系コンサルティング会社設立、代表取締役に就任。2016年3月より、一般社団法人せとうち観光推進機構(せとうちDMO)代表理事を経験し、現在は大正大学地域構想研究所教授。
村橋さん
観光は典型的な時間消費型産業で、その大半を占める移動や見物は地元にお金が落ちにくいという特徴があります。大賞のMintさんの事業は地域と地域、事業者と事業者をつなぐ大切な役割を果たしています。地域内の消費が上がり、お客様の満足度も高まってリピートにもつながる大変素晴らしい取り組みです。
その他の受賞の方々も、持続可能な地域づくり、地域の伝統文化の継承、地域のコミュニティー地域社会の協力体制など、観光という枠にとらわれない、まさに今私たちが突き付けられている課題に対する一つの答えを示してくれているものばかりです。
「共有地の悲劇」とは、水産資源の乱獲や環境問題で使われる言葉。有限な資源を共有する個人が自分の利益ばかりを最大化しようとして勝手にふるまって結局資源が荒廃枯渇して関係者全員が不利益になってしまうことを言います。観光でもこのようなことがずっと起きていましたが、先ほど表彰された皆さんのような本物の事業者だけが、生き残れる時代となりました。
地域とすり合わせながら地域を守り地域に貢献していくという姿勢は、観光事業する上ではマストです。まさに観光起点で地域を考える、地域を見直す、地域の未来を作っていく、持続可能な社会を作るためのキーポイントが観光になっていくのでは、そんな時代が来ています。
観光に携わっている人だけの問題ではなく、地域の住民を巻き込んで大きなムーブメントにしていけたらいいなと思っています。
今日ご参加の方がそのけん引役になってくださることを期待してやみません。ぜひ観光で世界を変えたい。一緒に変えていきましょう。
最後に
このような全世界が前代未聞のコロナ禍という状況下で、第一回『Attractive JAPAN大賞』の受賞者を発表できたことはタイミング的にも非常に意味のあることだとと考えています。
地域に寄り添い、地域とともによりよくしていこうという機運がが日本中に広がるきっかけとなることを期待しています。地域の方々からも愛され、世界の方もわざわざ行きたくなるような未来に生き残る地域体験コンテンツの可能性を見つける、ひとつの指標となれば幸いです。
表敬訪問
今回、受賞された事業者及び地域へは順次、Attractive JAPAN事務局が現地に表敬訪問し、表彰イベントを行う予定です。