【現地訪問】ベトナムの旅行会社46社と商談して感じた訪日ベトナム人市場のポテンシャル
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ベトナムの旅行会社46社を行脚してきた
地域ブランディング研究所の石塚です。なにかと海外出張が多い弊社ですが、2017年12月ベトナムの旅行会社46社を訪問してまいりましたので、その様子をお伝えします。
(上記写真は訪問時に仲良くなったベトナム人スタッフ。私石塚は左から2番目です。)
インバウンドにおけるベトナムの概要
現地の様子をお伝えする前に、ベトナムの概要について説明します。
アジアでも有数の人口規模を誇るベトナム
現在の訪日外国人の大多数を占めるのが、中国・韓国・台湾・香港。
ただ国民人口で見ると、中国を除いた韓国・台湾・香港はアジアの中で特段多いわけではありません。
一方今回ご紹介するベトナムは国民人口約9,000万人とアジアの中でも有数の規模を誇ります。
前年比30-50%の訪日ベトナム人
また訪日ベトナム人数も急速に伸びており、直近6年間における前年比伸び率は30-50%前後と高成長を維持しています。(2017年は前年比+32.1%)
訪日数のカギを握る交通インフラLCC。
バニラエアが台北経由で成田-ホーチミン間を運航していましたが、
2017年9月ジェットスター航空が 関空-ハノイ・ダナン 直行便を就航。
今後も継続的な成長が期待できます。
訪日ベトナム人の実態を現地旅行会社46社に聞いてみた
ポテンシャルを秘めているベトナム市場の実際について現地旅行会社46社を訪問し調査して参りました。
ほとんどが団体旅行
貴社ではどんな旅行商品が主力ですか?
ほとんどがグループ団体向けですね。ベトナム人はテト休暇以外に長期休暇を取得するのが難しいんです。
なので4日間程度で行けるツアーが主流です。行き先は東京-富士山といったゴールデンルートが人気ですね。
北海道も最近人気が出始めています。
行く先々の旅行会社のほとんどが団体パックツアーが主力商品でした。
中には体験コンテンツ・レア商品の取り扱いを検討されている旅行会社もありましたが、まだまだ少数派です。
ゴールデンルートの価格競争状態
オプショナルな体験ツアーの需要はいかがでしょう?
面白いとは思うんですが、価格が高くてお客さんに紹介しても予算の見積もりから外れてしまいます。
46社回ってみて感じたのが、どの会社も団体パックツアーの価格競争が激しいということ。
ベトナムでは大手旅行会社の商品を、中小規模の旅行会社が切り売りしているという業界構造に起因しているようです。
従ってどこの旅行会社もゴールデンルートに毛が生えた同じような商品を取り扱うことになり、価格競争が起こっています。
いつまでも消耗戦が続くわけではありませんから、数年後には旅行会社の淘汰が進んでいることでしょう。
花と買い物とベトナム料理が好き
ベトナム人の好きなものって何でしょうか?
ベトナム人はお花が好きですね。テト休暇では町じゅうが花だらけになります。
あとは買い物が大好きです。
海外旅行先では、ベトナム料理が恋しくなるようで、現地で食べる人が多いです。
ベトナムには感謝や愛情を表現するために男性が女性に花を贈る 「女性の日(3/8と10/20)」 という習慣があります。
日本にも桜をはじめとした多くの美しい花がありますので、コンテンツとして響きそうですね。
また海外旅行先でもベトナム料理を欲する心理は、私たちが海外旅行時に梅干しやみそ汁を持参する感覚と似ているなと思いました笑。
なぜFIT(個人旅行)化が進まないのか?
地政学上ほぼ同エリアに位置するタイはFIT(個人手配の旅行客)が多いのに対し、なぜベトナムではこれほど団体ツアーが多いのでしょうか??
理由は下記の2つです。
取得できるVISAの制約
ベトナム人が日本に旅行する際取得できるVISAの種類は下記2種類。
- 【15日滞在ビザ】・・・取得簡単だが団体商品を主に取り扱う旅行会社商品の利用が必須
- 【90日滞在ビザ】・・・個人旅行客向けにはぴったりだが取得難易度が非常に高い
旅行期間や難易度を踏まえると、15日滞在VISAがほとんどの選択肢になるのですが、取得には旅行会社の利用が必須。
そしてその旅行会社は現在扱ってる商品のほとんどが団体向け商品ですので、選択の余地が生まれないわけです。
ベトナム人は英語読める人が少数派
ベトナムはベトナム語が公用語です。
フランスの植民地だった歴史的経緯から少数のエリート層や高齢者ではフランス語を理解できますが、英語を読める方はさらに少数。
したがって日本滞在時に看板の表記を読むことができず、公共交通機関が使いづらいようです。
▲外国語対応が進んでいる関西国際空港でもベトナム語表記はありません。
言語的な不安があると、たとえ団体ツアーで自由時間が潤沢に与えられたとしても、気軽に移動することが困難となるわけです。
まとめ
中国・台湾・韓国が急速にFIT化してきた経緯を考えると、ベトナムも今後急速にFIT化が進む可能性があります。
訪問した旅行会社の中にも、このままだと価格競争に巻き込まれるだけだから、インセンティブ向けを中心に体験の質・レア感を重視した商品を扱いたい!といった意欲的な会社も数社ありました。
人口も多く、経済成長も著しいことから、今後の対応の工夫次第で大きな需要を取り込むことができるでしょう。
今日の一句
”市場規模 侮りがたし ベトナム人”