【牡蠣筏】島田水産から学ぶ当たり前を掘り下げて作るコト消費
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魅力的なコト消費のネタはどこにあるのか?
訪日外国人が年々増え、体験アクテビティに対する関心が高まっている現在のインバウンド市場。この需要を取り込むべく、多くの自治体関係者や民間事業者の方が頭をひねられていると思います。
しかし出てくるアイディアといえば、着物体験や茶道といった ”どこにでもある” ようなものばかり。
どうすれば外国人を惹きつける体験コト消費のアイディアが浮かんでくるのでしょうか?
そのヒントが広島県の宮島近くの水産加工会社「島田水産」にありました。
牡蠣筏の水揚げツアーを開催する島田水産
全国一の生産量を誇る広島県の牡蠣。数ある牡蠣加工会社の中で島田水産さんが特徴的なのは、普段の水揚げ作業を体験ツアー化している点です。
具体的にその内容をご紹介しましょう。
①朝7:00よりスタート
ツアーの開始時刻は早朝の7:00。早いです!
事前予約していた旨を伝えると腰巻き型のライフジャケットを渡されます。けっこうコンパクトですね。
②実際の漁船に乗り込む
体験ツアーではありますが、専用のクルーズ船ではなく、普段使いの漁船に搭乗します。リアリティがあって胸が高まります。
今回案内してくださるのは、社長の島田俊介氏です。
③宮島を眺めながら牡蠣筏に接近
漁船に搭乗後、湾内に埋設されている牡蠣筏に向かいます。乗船時期は3月下旬だったのですが、風が大変気持ち良かったです。
なお桜の季節は、宮島全体がピンク色になるとのこと。桜好きの外国人は興奮するでしょうね。
④実際に牡蠣を水揚げ
牡蠣筏に到着!
私は広島出身なのですが、牡蠣筏自体は目にしたことはあるものの、ここまで接近したのは初めて。
地元の私ですら興奮してるのですから、外国人にとってはよりエキサイティングに映りますね。
ちなみに本格シーズン時はこのようにかなりダイナミックです。
余談ですが、牡蠣筏のような養殖方法は波が穏やかな瀬戸内海だから実現できるとのこと。
欧米にも牡蠣はありますが、筏方式ではなく浅瀬に棚を作る方式だそうです。
そういった生産方式の違いも、外国人にとっては面白く見えることでしょう。
⑤厳島神社を眺める
水揚げ完了後は、厳島神社に接近します。今回は干潮時だったので近づけませんでしたが、満潮時は鳥居の下をくぐることができます。
普段とは違った角度で眺める厳島神社は新鮮ですね。
⑥水揚げした牡蠣を食す
陸に戻った後は、飲食スペースにて牡蠣料理を食べることができます。ちょうどいい朝ご飯ですね。
Bobさん(@boblinus2209)がシェアした投稿 – 2018年 3月月12日午前2時30分PDT
牡蠣の事を知ってほしい想いからはじまった
そもそもこの水揚げツアー、どのような経緯ではじまったのでしょうか?
島田俊介社長に聞いてみました。
Q1:いつからはじめられたのですか?
3年前位からはじめたんよ。
広島は牡蠣加工会社が多くて埋没しやすい。
それにスーパーに卸しても安く買い叩かれる。
そこでもっと牡蠣の事を知ってほしいという想いからはじめたんよ。
Q2:どんな人が乗られるんですか?
幅広いねぇ。
若い人もおるし、家族連れも多いよ。
その後毎年来てくれる人もいるし、しばらく経って、通販でうちの牡蠣を買うてくれる。
西田 侑平さん(@yuhei069)がシェアした投稿 – 2018年 3月月6日午後9時25分PST
Q3:外国人は乗られますか?
増えとるよ。
中には毎年来てくれるリピーターもおる。
欧米系はもちろん、中国・香港・台湾・タイといったアジア系の人もようけ来てくれるね。
↓香港からのお客様一団
Wing Fang Ka Wingさん(@fangkawing)がシェアした投稿 – 2017年10月月6日午前3時19分PDT
Q4:他言語対応についてはどのように取り組まれていますか?
HPやメニューには他言語バージョンもあるけど、外国人対応の専用スタッフを置いてたりはしてないね。
わしらの提供しとる体験は見て感じるものじゃけ、完璧に外国の言葉を知らんでも伝わるんよ。
言葉よりもどうやって楽しんでもらうかという事の方が大事じゃね。
欧米系外国人との相性の良さ
ツアー開始が 朝7:00(日曜日は9:00)と早い時間帯に行われる島田水産の牡蠣水揚げツアー。
実は体験コト消費に対する需要が高い欧米系外国人と相性が良いです。
①早朝に散歩する文化
欧米系の外国人は朝が早いです。私も島田水産さんに向かう途中、宿泊先のホテルから散歩する外国人連れを見かけました。
散歩ついでに朝食も食べられる牡蠣水揚げツアーは、欧米系の生活スタイルにぴったりハマります。
②昼の予定も入れることができる
開始時刻が早いこともあり、水揚げツアーは9:00頃には終了しています。
つまり昼以降の予定も余裕をもって入れることができます。
島田社長いわく、朝水揚げツアーで宮島を眺め、昼に上陸して厳島神社を参拝する人も多いとのことでした。
インバウンド本格展開における課題
一方、インバウンド体験コンテンツとして伸びるにあたり、課題もありました。
①人員不足
島田水産さんの本業は、牡蠣の水揚げと自前の飲食スペース牡蠣小屋の運営です。
水揚げツアーの需要が増加していくと従業員の方の負担が増えます。
②外国人向け広報活動
体験プログラムを海外でより知ってもらうためには、海外旅行会社や旅行サイトへの広報活動が欠かせません。
しかし民間施設単独で行うにはハードルが高すぎます。
③近隣ホテルからの誘客
周辺には宮島が近いこともあってか多くのホテルがあります。
そこでは外国人向けの案内スペースはあるものの、体験プログラムに関するものはごくわずか。
欧米系の方は、計画をざっくり決めて、滞在先で何をするか決める傾向が高いため、宿泊施設と連携することでより効果的なPR活動が実現できるでしょう。
まとめ
インバウンド向けのコト消費を造成するうえで、何か特別なことをしなきゃいけないと考えている人は多いと思います。
しかし普段行っている本業に、ひと工夫かけることで魅力的なコンテンツがつくれることを島田水産さんの事例は教えてくれます。
お客様専用の高価な設備を用意したり、多言語対応を完璧に準備しなくともインバウンド対応はできるのです。
この記事をご覧になられている読者の方の身の回りにも、もう1段突き詰めることで輝く当たり前の光景があるはず。
みなさまのご参考になれば幸いです。
今日の一句
”コト消費 演出次第で つくれます”
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