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2017/08/08 体験プログラム紹介

【インバウンド】小さくて何もない「まち」をコト消費で輝かせる方法

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    本記事は「商業界 2017年7月号」に弊社代表の吉田が寄稿させていただいた記事をインバウンド向けに再構成したものです。

    従来のまちづくり政策が通じなくなってきた

    これまでの右肩上がりの経済成長・人口ボーナスを前提としたまちづくりでは、公共事業や工場誘致をすれば地域雇用が確保され、困った時は行政に頼れば交付金・補助金でなんとか賄えていました。dobokukouji

    しかし現在は国の借金も膨れ上がり、公共事業をいたずらに増やせないことに加えて、工場も自動化や海外進出が進み、雇用創出効果が以前ほど見込めません。

    つまり従来の政策では、まちの維持が難しくなってきています。

    地域ブランディングで生き残る

    そんな中、生き残りの1つの方策として、地域イメージをブランド化し、地域産品や観光で1つの産業を作り上げ、自ら稼げる地域をつくっていく手法も注目され始めてます。それが地域ブランディングです。

    • わざわざ行ってお金を使いたくなる
    • ファンやリピーターが根付いている地域

    は地域経済の活性化が期待されます。

    私も学生時代から今に至るまで日本全国・世界各地に赴き、流行モノから長く愛され続けるものまで各種事例を見て参りました。
    一方、ストーリー性がなく思い付きで展開したがために、一過性ですぐに廃れてしまっている残念な事例もございました。

    しっかり定着しているところは、

    • 補助金に頼らず民間のビジネスとしても成立している
    • パッションを持った人が努力し続けている
    • 地域の人たちが理解をして応援し続けてくれている

    という3条件が揃ったところです。

    そしてインバウンドという視点で見ると、地域ブランディングは今後大きな発展の可能性を持ち合わせています。

    インバウンド市況はオリンピック後も伸びるのか?

    インバウンド・訪日観光客数が2016年通年で過去最高の2400万人、消費金額が3.5兆円を突破し、観光業がこれからの注目の産業になってきています。

    一方、オリンピックイヤー2020年をピークに衰退するのではとの声も聞こえます。現場で関わる立場からすると、大きな経済危機や紛争・病疫等が発生しない限り、オリンピック後も訪日観光客数が伸びることは、確実視して問題ないでしょう。

    実際政府は

    • 2020年訪日観光客数4,000万人・消費金額8兆円、
    • 2030年同6000万人・同15兆円

    を目標に掲げて動き始めています。

    伸び続ける世界の観光マーケット状況

    日本のインバウンドだけでなく世界の観光市場を見てみましょう。実は世界経済の中に占める観光業の規模は10%ともされ、アジア圏を中心とした経済成長・空港整備・LCC普及等も相まって、世界人体の観光交流人口はますます伸びる予測が国連からも出されています。

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    (出典:UNWTOツーリズムハイライト2016

    特にアジア圏の交流人口拡大は目覚ましく、アジア各国から1-6時間の移動圏内に位置している日本は非常に強い優位性があるのです。

    地名から情景がイメージできる場所が強い

    下記表は世界的に人気なクチコミサイト「トリップアドバイザー」が毎年発表している世界の人気観光地ランキング2017の結果です。同サイトのユーザーは欧米人が中心なので、必ずしも世界的な需要を網羅しているわけではありませんが、ランクインしている観光地は名前を聞いただけである程度そのイメージができるのではないでしょうか?

    順位都市国名
    1バリ島インドネシア
    2ロンドンイギリス
    3パリフランス
    4ローマイタリア
    5ニューヨークアメリカ
    6クレタギリシャ
    7バルセロナスペイン
    8シェムリアップカンボジア
    9プラハチェコ共和国
    10プーケットタイ
    11イスタンブールトルコ
    12ジャマイカカリブ諸島
    13ホイアンベトナム
    14サンクトペテルブルクロシア
    15ロアタン島ホンジュラス
    16マラケシュモロッコ
    17アンバーグリスキーベリーズ
    18リオデジャネイロブラジル
    19セント マーチンカリブ諸島
    20プラヤ デル カルメンメキシコ
    21ドバイアラブ首長国連邦
    22グランドケイマンカリブ諸島
    23カトマンズネパール
    24ボラボラフランス領ポリネシア
    25クスコペルー

    (出典:トリップアドバイザー・トラベラーズチョイス:「世界の人気観光地ランキング2017」上位25位)

    例えば、

    • 1位のバリ⇒「ビーチ・ナシゴレン・民族音楽」
    • 2位のロンドン⇒「ビッグベン・ロンドンバス・バッキンガム宮殿」

    でしょうか。このように世界的には地名から情景イメージが浮かびやすい観光地に人気が集中しており、期待を裏切らない体験が提供されています。

    目が肥え始めている訪日外国人

    日本に置き換えて考えてみましょう。インバンド黎明期においては訪日客の多くが初訪問で、分かりやすい日本イメージを提供してくれる東京・富士山・京都・大阪を回るコースが定番でした。団体客向けにオーソドックスな日本らしさを提供していれば十分で、一定の満足を得られました。mtfuji

    (出典:富士市

    ただ、訪日客もリピーターが中心になり、目も肥えてきている中で、世界・日本の中でもきちんとした差別化が必要となってきています。国際競争の中で、その地域の歴史・文化・食・空間・ひとといったすべてが一つの統一した世界観を作り上げ、滞在時間が貴重なものになっていれば確実にファンが定着していくでしょう。

    国際競争下における地域PRの方向性

    「今だけ・ここだけ・あなただけ」というキーワードが地域のファンづくりにおいては必要です。そこでしかできない最高の体験をどこまで提供できるかが、成功する地域づくりの大事な方向性になっています。

    訪日観光客は所得水準も増し富裕層も増え続けています。特別な体験にお金を使い人も増加中増えてきているのですが、その需要に応えれるものを提供しきれていない実情もあります。ディズニーランドが期待を裏切らないことと同様に、「まち」にもそこでしかできない経験を求めています。ターゲットが何を求めているのか、徹底的に文化や風土から読み取ってストーリー付けし、1つの世界観を提供できれば確実に満足してもらえるでしょう。

    変な作り物を用意する必要はありません。最後に生き残るのはやはりホンモノです。地域の皆さんにも愛されて、みんなでその感動体験を提供できるかがカギになります。

    アクセス超悪の富山県旧利賀村の場合

    例えば、富山県南砺市(旧利賀村)の民宿 「中の屋」さんの事例は大変参考になります。ですが富山県南砺市と聞いても皆さんあまりパッと来ないかと思います。

    「中の屋」さんは富山駅から車で1時間という交通利便性もまったく高くない山の中に立地しています。最寄駅からも車で60分、公共交通機関もないという立地です。そんな「中の屋」さんに最近FIT(個人観光客)が数多く来訪してくれています。AirBnBを使った民泊を通じて少しずつ受け入れを強化し2016年は年間50人以上が訪れました。

    アクセスがお世辞にも良くない場所にわざわざ外国人が来た理由は、人気スポット世界遺産白川郷・五箇山から非常に近いことに加え、アットホームな田舎体験ができるから。来訪する方は欧米やアジア圏の方々で、ここであれば「ありのままの日本の田舎体験」ができる場所として、クチコミ情報含めてファンが拡大し、ブランド化が進んでいます。

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    ここでしかできない田舎体験の具体例

    「中の屋」さんでは

    • どんと焼き
    • かまくら
    • そば打ち
    • カラオケ
    • 囲炉裏

    等の体験を徹底的に提供しています。

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    また、コミュニケーション面では

    • ノートで宿泊者の交流の仕掛けを作る
    • AirBnBでの事前のヒアリングをメッセージで丁寧に実施
    • 記念写真を率先して撮ってあげる
    • Facebookの発信、メッセージでの丁寧なフォロー

    を行い、満足度をより高めています。

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    中の屋さんの動きが拡大し、地域の受入組織とも一体となりながら、「日本の田舎体験をするなら利賀」というイメージが浸透されつつあります。

    まとめ

    より、グローバル化が進む中でこれまでと違う価値観で地域と向き合い、そこに稼げる仕組みを作っていける可能性が眠っています。膨大なお金をかけずとも情報をきちんと掴んで対策をすれば、皆様が当たり前にしている生活を楽しみにやってくる方も増えてきています。

    当たり前の中でも確実に他と差別化できるもの、独自化できるものを探し、確固たるポジションを確立すべく、愛されるスポットづくりをしていただけることを願っています。

    今日の一句

    「あちこちの まちに眠れる ここでしか」

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