イギリス最新情報よりGood News~訪日旅行マーケットの躍進と新たなトレンド~

こんにちは。地域ブランディング研究所の佐藤です。

欧州旅行業界のマーケティングのために、日々更新される情報を目にしていますが、ここ最近のニュースとして、訪日旅行についても嬉しい兆しが見えてくるようになりました。

欧米マーケットで訪日旅行の予約が急拡大

イギリス政府は、ワクチンの効果により感染者の重症化は一定程度、抑えられているとして、7月19日から公共交通機関などでのマスクの着用義務や人との距離の確保といった規制をほぼすベて撤廃すると発表しました。専門家などからは、国内において変異ウイルスによる感染が急速に拡大している状況から、リスクが高いとして不安や懸念の声も上がっていますが、観光業界においては本決定が旅行需要回復へのさらなる追い風になると考えています。

イギリスの旅行業界向けメディア、トラベルウィークリーにて6月21日に掲載された記事によると、イギリス最大の訪日旅行専門会社であるInside Japan社が、2022年春に開催するツアーを35本追加することを発表しました。Inside Japan社は本社のあるイギリスのほか、アメリカ及びオーストラリアでも営業展開をしており、マーケットリーダーとも言える同社のこの決定は、英語圏における訪日マーケットに大きく影響を及ぼすことが考えられます。

また、トラベルウィークリーと並ぶ業界向けメディアTTGでも、訪日旅行に関するニュースが発表されました。イギリス及びオーストラリアで訪日旅行販売を行っているアジア系の大手オペレターWendy Wu Tours社が2022−23年の日本行きのパンフレットを発表すると、予約が2019年の同時期と比べてなんと200%もアップしたとのことです。実際に、私がここ数ヶ月、情報交換したイギリス系の他エージェントからも、2022年の予約が増えているという話を聞いています。このような話は、暗い話題ばかりのイギリスの旅行業界においても朗報と言えるでしょう。

左:Inside Japan、右:Wendy Wu Tours

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で旅行業界は窮地に

イギリスでは、6月24日、旅行業界に対する救済要求を政府に行うべく全国的なデモが行われました。新型コロナウイルス感染症の拡大により、旅行業界が窮地に立たされているのです。スペインやイタリアほどではないにしても、イギリスでも旅行業界への依存度は低くなく、GDP全体の9%を占めており、今回の新型コロナウイルス流行によって20万人弱の雇用が危険に晒されていると言われています。これは、他産業の地盤沈下により、旅行業、特に訪日旅行のGDPへの依存度が高まっている日本(2019年現在 GDP全体の7%)にとっても対岸の火事ではありません。

そのため、欧米マーケットで訪日旅行の予約が拡大することで、日本の旅行業回復の一助となることを期待されているのです。

ワクチン接種率上昇で増えた長距離旅行の需要

ご存知の通り、イギリスに限らず、外国人の日本への渡航は特別な状況を除いて禁止されていますが、前回の記事でもご紹介したように、イギリスでは日本以上にワクチン接種が進んでいることもあり、旅行の申し込みも増えています。7月16日時点では、人口の67.82%がワクチンを1回接種しており、なんと半数以上の51.79%が2回のワクチン接種を完了しています。(※1)

(参考※1)世界のワクチン接種状況|NHK

また、今年(2021年)はヨーロッパ各国など近場への旅行予約が多いそうですが、2022年の予約では、コスタリカ・ベトナム・アメリカや日本といった長距離の旅行先が人気の傾向にあるようです。これは、ワクチン接種率が上がったことによる安心感が要因と考えられます。

「余程の物好きが選ぶ場所」から「死ぬまでに行きたい場所」へ

私がイギリスで訪日旅行の手配を始めた20年近く前、JNTOロンドン事務所がエージェント向けイベントを開催しても、なかなか招待客が集まらず、苦労されていました。

しかし、現在では、参加希望者が急増し、「1企業2名まで」といった人数制限までかけるようになったそうです。

トラベルウィークリーでの記事でInside Japan社のスタッフがコメントしているように、以前の日本のイメージは「余程の物好きが選ぶ場所」でしたが、今では「死ぬまでに行きたい場所」の1つとして必ず名が挙がるようになりました。私自身もこうしたコメントは、この数年何度も耳にしました。最初に紹介したような訪日旅行に関する記事が大きく取り上げられていること自体、イギリスにおける日本旅行商品の人気の高さを物語っています。

メディアの露出が日本の認知向上に貢献

訪日旅行の人気の要因の1つには、日本を取り上げるテレビ番組及び雑誌などの記事が増えたことによる日本の認知向上が考えられます。

この認知の向上に大いに貢献したとされるイギリスの有名大物女優による紀行番組「Joanna Lumley’s Japan」は、オーストラリアでも放映されたそうで、同国での日本の認知向上に貢献した、とオーストラリアのエージェントがコメントしていました。実は、イギリスとオーストラリアはテレビ番組を共有するケース多く、今でも互いに影響を与え合っている面が多いのです。

これまで、イギリスからの訪日旅行が少なかったのは、遠いことや値段の高さもさることながら、それ以上に訪日旅行に対する認知度の低さから、旅行先として日本が選択肢になかっただけという理由が考えられます。情報発信がいかに大事なことか、わかりますね。

ポストコロナにおいて私たちができること

現在のコロナ禍において積極的に行える数少ない活動の一つが、情報発信です。地道な活動ではありますが、ポストコロナ時代には、先ほどのテレビの例のように、インフルエンサーを活用した情報発信なども助けになることは間違いないでしょう。

また、イギリス国内において感染症対策として続けられてきた規制が撤廃されたことを受け、今後、日本側の規制緩和も進む中で、訪日旅行需要もより増加していくと考えられます。しかしながら、現在も感染拡大への懸念があることから、実際に旅行を計画する際には旅先の感染予防対策が重要になってきます。安心して滞在できる旅先の1つとして選んでもらうためには、安心安全な旅の提供に関する取り組みを、日々発信することも大切です。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

千葉県千葉市出身、明治大学法学部卒。日本の旅行会社に2年勤務した後、英国へ移住し25年居住。その間、ロンドン大学院にて途上国における環境及び旅行開発論にて修士号授与。ロンドンにて21年旅行会社勤務、そのうち15年間は訪日旅行に携わり、英国における訪日旅行の黎明期から興隆期を目撃。世界49カ国訪問。海外エージェント・メディアとのコンタクト多数もっており、サッカー日本代表欧州遠征やラグビーW杯イングランドの訪日パケージに携わるなど、スポーツホスピタリティ関連や、MICEや商談会催行、FIT商品造成にも明るい。