アフターコロナのトレンド!ライトサイジングで持続可能な観光へ [後編]

こんにちは!地域ブランディング研究所のフランス人スタッフ、ジュリです。

前編では、持続可能な観光のあり方として注目されている「ライトサイジング」(適正客数による観光)という考え方について、紹介しました。

コロナにより観光の考え方にも大きな変化があり、さらに世界的なSDGsの広がりによる持続可能な観光の動きの相乗効果で、今後、ライトサイジングの考え方は観光地において求められていくでしょう。

今回は、ライトサイジングを具体的に考えていくヒントや、実際にその考え方が取り入れられている世界の事例についてご紹介していきたいと思います。

ライトサイジングを考えるヒント

オーバーツーリズムなどの観光地が抱える問題解決やアフターコロナの商品造成を考える際に大切な要素となる「ライトサイジング」ですが、実際にそれぞれの地域の観光に取り入れるためには、どのようなことを考える必要があるのでしょうか?その具体的な考え方を、いくつか紹介していきます。

まず大切なことは、商品を造成する地域に行って、地元の住民やサービス提供者と積極的に交流し、観光客受け入れの限界や不安についてヒアリングをすることです。地域住民を味方にしなければ、観光客の受け入れはできません。なので、もし住民の生活や地域の環境に支障がある、もしくは支障が考えられる場合は、そこから手をつけてみましょう。

次に、提供する商品やサービスを求めるお客様を的確に呼び込むために、ターゲットを絞り込むこともライトサイジングを考える上で有効といえます。お客様のニーズにリーチしやすい上、お客様の求める情報やサービスを提供する時間を十分に持つことができるからです。そうする事で、お客様とサービス提供者の双方の満足度が高くなり、結果的に事業が長続きします。さらに、安定したファン層の開拓や、リピーターを増やすこともできるかもしれません。

また、地域住民への負担や環境面での影響を軽減させるため、観光客数を年間を通して平坦になるよう分散させる施策も考えてみましょう。現場を回す”観光ファクトリー”にならないために、開催する日程を予め設定しておくなど、何らかの制限を事前に設けておくことで、お客様を万全な状態で迎えることができ、提供するサービスや商品の質の向上やブランディングにもつながります。

このように、ライトサイジングの考え方には、様々な切り口があり、地域によって有効な考え方は異なります。そのため、対象となる地域の環境や限界などをきちんとリサーチした上で、それぞれの実情に合った解決策を導く事がとても大切です。また、この考え方は、大きな都市や有名観光地に限らず、どんなに小さな市町村でも、今ある課題解決や商品造成における事前の対策として取り入れることが可能です。

世界各国のライトサイジングを取り入れた事例紹介

すでにライトサイジングを取り入れた観光地は世界中にあります。ここでは、その中でも代表的なノルウェー、スペイン(バルセロナ市)、ニュージーランドの事例を紹介します。

①ノルウェーでの事例

2016年に実施された調査によると、ノルウェー政府は、混雑した地域以外で新たな機会を生み出すために、地域プロジェクトの奨励を始めました。この背景には、国内で観光客を分散して派遣できるという考えがあります。これにより、人気スポットの負担が軽減されて、観光客の平均的な満足度向上も期待でき、より持続的に収益を地域経済に分配することもできるのです。

②スペイン(バルセロナ市)での事例

2004年以降、バルセロナ市では、観光事業者の利益よりも居住者の権利を優先することによる、観光の持続可能性の向上に取り組んでいます。また、観光政策と運営について市議会に助言し、観光を生活の質と社会的結束の向上に貢献させるべく、「市観光協議会」が設立されました。同時に、居住者に対して定期的に、観光やその他の問題に関する意見調査を実施し、市内在住者への割引や優待サービスも行っています。例えば、グエル公園の入場料は、居住者は無料ですが、外部の人は8ユーロかかります。また、毎月観光のピークも予測し、居住者に公開しているため、混雑した地域を避けて過ごすことができるのです。

③ニュージーランドでの事例

ニュージーランドは素晴らしい自然資産で知られており、最近の報告では、マス・ツーリズムが環境を破壊し、主要な観光地を過密にしていることが明らかになっています。そのため、観光地を保護するために、入国管理システムを通じて35ドルの税金を設定しました。これは、海外から入国するすべての訪問者が支払う必要があります。国の保全、インフラストラクチャー・システムの改善に向けて、5年間で4億5000万ドル以上を集めることができるのではないかと期待されています。2021年3月、スチュアート・ナッシュ観光大臣は、「国境封鎖が解除された後の観光の長期的な展望には、根本的な変化が必要です。コロナウイルス発生以前の観光モデルに戻ることはできません」と発言しています。

最後に

世界の事例からも読み解けるように、観光とは、地域の人がいらっしゃってこそ、お客様を満足させることができるものなのです。地域の人たちが住みにくい環境では、十分におもてなしすることはできません。そもそも、その地域に住みたいと思う人がいなければ、観光スポットとして成り立たないのです。

観光客がその地域を楽しむことで滞在時間が伸び、経済が回る。そして、地域での雇用が創出され、人が住みたくなる(訪れたくなる)。そんな、地域における持続的な循環がこれからの観光には必要であると考えています。そして、その循環を実現させるために必要な考え方が、まさに「ライトサイジング」なのです。持続可能な観光地実現を目指したコンテンツを考える上で、この記事が参考となれば幸いです。

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ABOUTこの記事をかいた人

フランス ボルドー出身。2016年ボルドー大学卒業後、京都大学でも学ぶ。大学卒業後は日本に滞在し、一環してインバウンド向けのコンサルタントに携わっている。名古屋の「Glocal Hostel, Cafe & Bar」ゲストハウス&カフェではイベント企画運営などを2年間担当。株式会社カーネルコンセプト・コンテンツ企画室ではChubu Inbound Sales Project事務局兼スピーカーとして1年半活動。現在は地域ブランディング研究所でインバウンド観光のコンサルタントとして活動。人をつなげる「サステナビリティ」×「ローカル」な観光を作りたい。 好きな日本文化はジブリ映画、居酒屋、銭湯。