ポストコロナのインバウンド需要はどう変化する? 海外観光事務所への聞き取り調査第二弾

JNTO(日本政府観光局)やTCVB(東京観光財団)など海外で日本のプロモーションを行っている海外事務所全21カ所とのオンラインミーティングによりみえてきた、世界の観光業の現在の姿について。前回の記事では、海外旅行の再開時期やどの層から戻ってくるかなどについてお伝えしました。今回は、コロナ禍を経て変化した、実際にツアー造成をする際の具体策を紹介します。

都市から地方は、本当に起きるのか

ポストコロナの予想の中に、地方への関心が高まるという話がありますが、欧米豪マーケットの場合、初めて日本へ来る方が大半を占めているため、少し様子が違ってくると各事務所は考えています。そこで商品造成などの場合、下記がポイントとなります。

1)初めて日本を訪れる人は、やはりゴールデンルートに行ってみたい

地方を販売する場合は、いかにゴールデンルートと相性が良いか、という部分を押し出すのがポイントです。
例えば、高山・金沢は、東京から富士・箱根へ寄った後、そのまま京都へ行くのではなく、名古屋で北上する形でスムーズに訪れることができ、既存の行程表を崩さずに組み込むことができます。その行きやすさから、高山・金沢はオーストラリアなどの市場では、もはやゴールデンルートと捉えられているようです。

九州に関しても、九州新幹線のおかげでゴールデンルートの最西端・広島からたった1時間半(大阪へと同じ)で熊本に、そして2時間半で南端である鹿児島へ到着するので、それほど無理な行程ではありません。このように、地方を売るには既存の訪問地と併せることがポイントとなると、多くの事務所がコメントしています。
また、日本人旅行者は欧州へ旅行する際、1週間で3都市を訪れたりしますが、欧米豪の人々は決してそのような駆け足でのツアーは行いません。

2)コロナ禍で苦境に陥っている航空会社が再編のために路線整理をする可能性がある

例えば韓国では、第一キャリア大韓航空が第二キャリアアシアナ航空を買収。当然ながら不採算路線を整理することが予想されます。その場合、地方への路線は廃止・休止され、大都市圏への集約が起きる可能性があります。台湾の航空業界のようにダメージがあまり大きくない国もありますので、国ごとに動向を追う必要があります。
地方路線が整理され、地方への流れが停滞する可能性がある中で、密を避けた旅行ということになると、大都市の郊外などは面白い存在になるかも知れません。

アウトドアツアー+日本的要素

コロナにより、日本でもアウトドアの需要が高まっていますが、それは世界各国でも同様の動きとなっています。アメリカでは、ゴルフやキャンプの人気が高く、ドイツでは夏にキャンピングカーで地中海沿岸などへ旅行する人が多いそうですが、それを日本でもできないかという問い合わせがきているそうです。この背景には、公共交通機関の利用を避ける、という意味合いもあるようです。

とはいえ、アウトドア大国であるアメリカやオーストラリアの方々に、彼らの母国よりスケールの小さい自然体験を勧めたところで、あまり意味はないでしょう。日本人観光客が英国で日本庭園を見るようなものでしょうか。従って、アウトドアにも熊野古道や中山道、四国巡礼など日本的要素を入れたほうがよいと思われます。

パンフレットは、紙からデジタルの時代

コロナ禍の影響で、日本でも多くの旅行会社が店舗数を大きく減らすというニュースがありましたが、欧州では遥か前より街から旅行会社が姿を消し、対面スタイルの商売が過去のものとなっています。訪日旅行のように代金の高い旅行手配はオフィスに行きたいという方は一定数いますが、その場合も完全予約制としています。

そのような販売形式なので、パンフレットを渡す、ということはまずありません。紙のパンフレットが欲しいという年配層もいますが、過去のものになりつつあります。現在、JNTOでもデジタル化を推進しているとのこと。そもそもパンフレットは需要がほとんどないので、旅行博のようなイベント以外ではほぼ使われないそうです。

私が以前勤務していた海外の旅行会社では、毎年パンフレットを作成していましたが、2015年頃を最後にやめました。パンフレット作成にかかる費用を内容変更を容易に行えるウェブにかけたほうが効率的。かつ、紙のパンフレットを大量に印刷する事によるマイナスイメージを避ける、という意味合いもありました。先の記事にもありましたが、SDGsの視点が欧米豪では重視されているのです。
その代わりに、多くの海外の旅行会社ではパンフレットをサイトからダウンロード出来る様にしています。

一例:AUDLEY INSIDE Japan

大量のパンフレットで思わぬ出費

5年前晴海で行われたVJTM(インバウンド関連の商談会)に英国の旅行会社のバイヤーとして参加した私は、事業者から多くのパンフレットをもらう事になりました。当然ながらカバンには入らず、別送する羽目に。日本から英国の送料は決して安くはなく、予期せぬ出費は痛かったです。しかも、会場にいた指定宅配業者は現金しか受け付けず、普段キャッシュを多く持ち歩く習慣のない海外の参加者からは不満の声が多く上がりました。現在B to B向けイベントでは、その点も考慮してUSBが主流となっています(昨今のPCがCDドライブをつけていないこともあって、CDすらあまり見かけません)。

更に、旅行会社側からみると、デジタルで情報をもらったほうがウェブなどへの転用が楽というメリットもあります。SDGsという大義だけでなく、利便性という意味でも紙からデジタルへの切り替えを考慮する時期にきていると強く感じます。

関連記事⇒海外からの日本への旅行者はいつ頃、戻ってくるのか? 海外観光事務所への聞き取り調査でわかった欧州マーケット状況

 

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