海外からの日本への旅行者はいつ頃、戻ってくるのか? 海外観光事務所への聞き取り調査でわかった欧州マーケット状況

こんにちは。地域ブランディング研究所の佐藤です。
日本の観光のマーケティングやプロモーションのため、JNTO(日本政府観光局)やTCVB(東京観光財団)などは、海外事務所を拠点に活動を行っています。コロナ禍により世界との観光往来が停止している今、各国の状況や観光に対する熱はどんなものなのか。全21カ所の海外事務所の方々とオンラインでミーティングを行いました。実際にお話を伺ってみると、メディアやセミナーなどで言われている事とは異なる姿が見え、非常に興味深いリアルな現状がみえてきました。そんなお話を元に、25年イギリスに住み、旅行会社に勤務していた私自身の個人的見解も加えながら、欧州マーケットの海外旅行再開のタイミングやアフターコロナの人々の旅行に対する嗜好の変化などについて、2回に分けてご紹介させていただきます。
なお、ただし書きのない限り、都市名だけの場合はJNTOからのコメントになります。

世界は海外旅行再開を待ち焦がれている

新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、世界各国で実施されているロックダウン。日本でも東京などで3回目となる緊急事態宣言が発令されていますが、日本よりも長期に渡り、厳しい行動制限のロックダウンを実施していた国も多く、「自由に行動したい」というフラストレーションが大いに溜まっているようです。
各国が観光客に対して国境を閉じ、往来の厳しく制限される期間が長引くなか、とにかく世界中で旅行に対する飢餓感が増しています。この1年間、世界中の旅行会社がヴァーチャルツアーなどを発表し、それ自体が新たな可能性も生みましたが、実際に訪問するという旅行を待ち望んでいる人が世界中には多くいます。

英国では緩和スケジュール発表と同時に旅行予約が殺到

今回のミーティングにおいても、「外出制限で外に出ることも制限されたこの1年。旅行に行きたいと言う感情が溜まりに溜まっている」「とにかく一刻も早くどこかに行きたいと皆が思っている」「バカンスを大切にする国柄ゆえ、いつ海外に行けるかに関心が高い」との、特にロサンゼルスや、ニューヨーク、マドリッド、ローマなどの欧米系の事務所の方々がコメントされていました。
それを証明するかのように、英国ではボリス・ジョンソン首相が、新型コロナウイルス対策のロックダウンの緩和に向けたスケジュールを示すと、旅行会社や航空会社に予約が殺到。海外予約の申し込みが500%増えたという報道がありました(https://www.bbc.com/japanese/56207427)。勿論、彼の国ではワクチン接種が進んでいることもあるのですが、他の国においても同様のことが起きることは想像に難くありません。

外国人旅行者は、日本には戻ってくるのか

これらのコメントから、多くの国で人々がクラウチングスタート状態になっていることがわかります。海外旅行が再開された際に、果たして日本に戻ってきてくれるでしょうか。感染者数の再増加や緊急事態宣言の再発令などで、心配されている方も多いでしょう。しかし、今回お話をした海外事務所の方全員から言われているのが、今回のコロナが訪日旅行の成長を妨げることは全くないということです。TCVBパリの方が「フランス人が日本に抱いてきた関心・憧れが更に強まった面もある」とコメントされたように、関心が落ちるどころか、むしろ人気が高まった可能性すらあります。ジャカルタ・上海・TCVBローマによると、「日本は清潔な国」と言う印象が根強くあり、人気低下の心配はありません。元々訪日旅行の人気が高い上、清潔なイメージがある日本に対しては、ポストコロナ後での旅行に際し、衛生面を重視するというという点を考慮しても有利に運ぶはずです。

欧米に合わせて、日本の緩和スケジュールを示すのがカギ

世界の市場は日本行きに対する希望を持っており、いつ国境を開けるかを待っています。欧州のコロナ感染抑制状況はまだ改善されていませんが、ワクチン接種が順調に進んでおり、夏のバカンスを心待ちにしている人の多いヨーロッパ各国では、続々と旅行緩和を発表しています。フランス、イギリス、イタリア、スペインなどは、5~6月から条件付きで外国人観光客受け入れや移動制限の緩和を行うことを発表しました。日本においても、緩和スケジュールの発表が観光産業回復のカギとなるでしょう。アジア諸国においても、台湾・韓国などの近隣諸国の観光局が攻勢をかけているので、日本の対応が遅くなる場合、旅行熱が他国へ流れる恐れがある(シンガポール・ソウル事務所)点は留意すべきです。

回復時は富裕層から始まるって本当?

よく言われるのが、今回の騒ぎで経済的ダメージを受けた方が多く、解禁になっても戻ってくるのは富裕層になるのでは、ということです。多くの海外事務所からもそれを支持するコメントをもらっています。ビジネス絡みで入国してくる富裕層が突破口を開く(上海)、元々プライベートトランスファー&地方の高級旅館に泊まるなど密にならない旅行形態をとっていた人が多い(台北)、コロナの経済的ダメージを考慮すると富裕層だろう(ロサンゼルス)、中間層のダメージが大きい(マニラ)、とのことです。 東京観光財団ロサンゼルス事務所の人によると、ハワイのホテルの代金は例年の3倍くらいとのことですが、それでも客は入っているとのことです。元々アメリカ国内及びカリブなど近隣諸国への旅行が解禁になっているということは既に複数の情報筋から聞いておりましたが、富裕層が活発に動いているために値段が上がっているなどの詳細は初耳でしたので、これがポストコロナ禍の旅行なのだと感じました。コロナ禍で経済的格差が広がっているのは世界的な流れですが、密を避ける意味合いでにフライトなどで供給減少が生じ、その中で富裕層は安全を金で買うような感じで結果的に値段の高騰を引き起こしているのだろうと思われます。

航空代金増加の可能性も

一つ注意しなければならないのが、航空会社の動向です。TCVBパリが、「航空運賃は割高となり、日本・東京旅行のプレミアム度は上かる」とコメントしています。LCC(格安航空会社)による供給の増加は航空業界の苦境を招きました。さらにコロナ対策のために今後供給座席数が減る可能性が指摘されています。従って、各国の航空業界の状況次第では航空代金の増加が生じ、旅行可能な人々の層を狭めることになる可能性は大いにあります。

JNTO海外事務所などとのミーティングで見えてきた、アフターコロナの欧米豪マーケット向けツアー造成の際のポイントなどについては、次回の記事で紹介していきます。

 

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