目次
クルーズ船のツアー客を密着追跡してみた。
前回、博多港HPにて公開されていたクルーズ船寄港データを元に、分析を行いました。
【福岡インバウンド】博多港のクルーズ船寄港状況を調べたら、和歌山県民をまるごと輸送していた。
じゃあ実際はどうなっているのか??
11月末、ちょうど福岡に出張の所用があったため、時間の融通が聞く午前中に、ガチでクルーズ船乗船客の動向を追跡してみました。
今回ターゲットとなるクルーズ船は ”COSTA SERENA”(コスタセレナ)号
福岡出張は11/29-11/30。博多港のクルーズ客船入港予定表を見ると、

11/30にやってくるCOSTA SERENA(コスタセレナ)号を見ることができそうです。
スペックは下記の通り。
総トン数 | 114,500t |
---|---|
就航年 | 2007年 |
乗客定員 | 3,780名 |
乗組員 | 1,100名 |
全長 | 290m |
全幅 | 35.5m |
キャビン数 | 1,500室 |
船籍 | イタリア |
(出典:Cruise Planet)
乗客定員3,780名!?
長野県 野沢温泉村の全村民を格納できてしまう圧倒的輸送力。
加えて乗組員も1,100人と桁違い。維持運営だけでもものすごいコストがかかっていることが想像出来ます。
一体どんな船体なのか?目にするのが楽しみです。
動く巨大建造物”COSTA SERENA”(コスタセレナ)号
11/30、8:30の博多港に到着した我々の目の前に現れたのは、船というよりはムクッと海上にそびえ立つ建造物!
巨大コンテナがレゴブロックに見えてきたのは気のせいでしょうか・・・。手前の自動車と比較しても圧倒的なスケール感です。

こちらは地面からのショット。船の先端部分がなければ、コンテナ運送会社の社屋と言われても違和感はないでしょう。

出入国手続きを行うクルーズセンターからのショット。船という前提知識がなければ、クルーズセンターという名の建物。
よく見ると頂上部にプールの滑り台が設置されています。ゴージャス!

3,780名を待ち受ける大量のバスたち
巨大なクルーズ船の次に目に入ってきたのは、大量の大型バスたち。

ここまで同一車種が横一列に並ぶと壮観です。

改めて、大型バスも霞むくらいのサイズ。

別区画にも大量のバスたちが!

ウイスキーの銘柄のようなカッコイイバス。

こんな大量のバスを一同に見る機会はほとんどないでしょう。博多港はバスの博物館ですね。
ちなみに警備員の方に何台くらいいるのか聞いてみたら、5-60台じゃあ収まらないとのこと。
- 福岡観光希望者 3,780人(定員MAX)
- バス1台あたりの乗客数を40人
とすると、95台は必要ということになりますね。恐ろしい・・・。
一気に大量に降り立つ中国人観光客
乗船客の出入国審査を行うクルーズセンターから出てくる中国人観光客の皆様。

シニアな方々から

若い方、家族連れまで多様な世代が乗り込んでいるようです。

約40名がグループ単位で引率されており

それぞれ指定されたバスに乗り込んでいきます。

およそ2-3分毎にこの40名単位のグループが出てくるのですが、90グループあったとしても全員が完了するまで2~3時間は要することになります。
出国手続きにも相応の時間がかかることでしょう。
今回着岸したコスタセレーナ号は8:00~18:00の10時間しか博多港に停泊しないため、実質福岡に滞在できるのは6時間程度ということになりますね。
意外と短い。
ちょっと団体に紛れてみた。
あまりにも大量の団体グループが出てくるので、列に紛れてみることにしました。
身なりはキチンとされている方が多い印象。

赤いベストを着られた方が、ツアーガイドさん。
文字をよく見ると
CTS(中旅旅行者有限公司) と書かれています。
中国でメジャーな、日本でいうとJTBにあたる大手旅行会社です。
余談ですが、クルーズ船はビザが不要ということもあって、たまに失踪して戻ってこない方もいるようです。そうならないために、ツアーガイドの方は最後尾で目を光らせているのかなと思いました。

AM9:38 追跡スタート!
博多港での様子が大体わかりましたので、次々と発進していくバスを、同行者とともにレンタカーで追跡してみることにしました。
ただいま時刻は午前9:38

第一目的地は一体どこなのか?

県立美術館?ではなさそう・・・

鮮魚市場でもない。というかどんどん博多中心地から西へ離れていっています。もしや佐賀まで行っちゃうのか??
さすがにそこまでは追跡できないと焦る我々。

不安を抱えながら追跡していると、急に右側にクイっとターン。

おおっ、右手に見えるのは・・・

ヤフオク!ドーム
この付近のショッピングモールで買い物するのでしょうか。たしかに郊外のほうが空いてていいかも。

と、思いきやヤフオクドームには立ち寄らず、ヒルトンホテルを駆け抜けていきます。

一体どこに行くのか・・・全く検討がつきません。通なセレクトで福岡市博物館?

しぶとく追いかけていると、バスから降り立つ多くの中国人観光客を発見。

一体ここは・・・・??
第1目的地は福岡タワー

博多港からは下記ルートを通ってきました。通なスポットを選ぶのかと思いきや、わりとメジャーなところでした。
福岡タワーをこぞって撮影する中国人観光客
様々なばしょで福岡タワーをバックに記念撮影をする中国人観光客のみなさん。

あたりの様子を見回していますと、なんだか人だかりが。

ポーズをとる2人組

どうやら、スマホを置くと、福岡タワーが収まるように写真を撮ってくれるオブジェのようです。これは面白い。

個人的に驚いたのは、中国人の方がきちんと順番待ちして並んでいたということ。
列に割り込む並ばないステレオタイプな中国人像は変わりつつあるのかもしれません。
カオス状態の福岡タワー店内
タワー内の様子はどうなっているのか?中に入ってみると

セブンイレブン店内がもうグッチャグチャな状態!

見たこともないレジ待ちの列が!

コンビニって普段こんなに人で埋め尽くされてましたっけ・・・??
なぜこんなにレジ待ちの列ができているのか?レジ付近の様子を観察しておりますと、どうやら決済方法に手間取っている様子。

会計についてカードで決済しているため、都度暗証番号やサインの手続きが必要となって時間を要しているようでした。
向かい側の土産店については、中国最大級のSNSが運営する微信支付(WeChatペイメント)が設置されており

特にレジ待ちの列はできていませんでした。(客数がセブンイレブンと比較して少なかったというのもありますが)

ちなみに福岡タワーに登ろうという方は全く見かけませんでした。中国語対応していないからなのでしょうか。
まぁ一度に数千人も押し寄せてしまうと福岡タワーが傾いてしまうかもしれません。

明暗が別れた福岡タワー隣接の商業施設
ちなみに福岡タワーの隣にはいくつかテナントの入った商業施設が入っていたのですが
中国語表記されたドラッグストアは非常に盛況だったのに対して


▲目薬は人気商品でした。
九州各県の名産品を取り扱ったアンテナショップは閑散としていました。
たまに入った中国人のお客様も書かれている言葉がわからず離脱。

アンテナショップは特に外国人観光客をターゲットにしていなかったのだと思いますが、商品自体ありきたりでない地方特色のある魅力的なものを扱われていたので、中国語を併記しておけば喜んで買って頂けると思いました。
また大分県の産直販売店もあったのですが、こちらは日本人で盛況。私も番茶を購入しました。220gで400円とお得。

中国人観光客の方は、今まで知られていなかった深い日本を知りたがっています。
アンテナショップや産直販売所といった日本人向けのお店も多言語対応することで、彼らにとって魅力的に映るんじゃないかなと思いました。
10:30次なる目的地へ
福岡タワーの調査が完了したので、再びバスを追跡

高速道路に入ります!

左手側を見ると、再び視界に入るクルーズ船。韓国との定期船”ニューかめりあ”(定員647名)と比較してもやはり大きさが飛び抜けています。

と、油断していると、どんどん引き離されてしまう!バスけっこう飛ばすなぁ。時間がないからでしょうか?

一体どこに行くのか?再び不安に苛まれる我々追跡班。

この看板表示から察すに

次の目的地は太宰府!

ちょっと遠いなぁ~!
同行者の予定が11:30までだったため、これ以上は追跡できず、今回はこれで調査を打ち切ることにしました。
おそらく残り時間から察するに
- 11:30-14:00 太宰府観光+昼食
- 14:00-14:30 博多中心地に移動
- 14:30-16:30 キャナルシティ・天神周辺で買い物
- 16:30-17:30 博多港帰船
という流れでしょう。
キャナルシティの様子
車を運転してくれた同行者と別れ、団体客が多く来るという博多キャナルシティに行ってみました。
緑化壁がお洒落な入り口部分。

特徴的な噴水広場

プラプラしていると、中国人観光客と思しき集団がいましたので、追跡してみることに。

やはり4Fの免税店、ラオックスに誘導されている模様です。

この通り、フロアが広々しているので、大量の団体客を捌くには最適だと思われます。
数千人におよぶクルーズ船の団体客も、おそらくラオックスに来る流れでしょう。

まとめ
半ば興味本位で実施したクルーズ客船追跡ツアーでしたが
- クルーズ客船は想像以上に大きかった
- 上海からくる中国人観光客はちゃんと並ぶ(騒がしいけど)
- 決済方法最適化による機会損失低減に課題
- 多言語対応によって既存国内向け店舗もまだまだ伸長の余地あり
と色々気づきを得ることができました。
また、博多港周辺は広告看板も少ないため、定期的にまとまった数の中国人観光客にPRを考えられている企業さんにとっては開拓余地があるように思いました。
現場からは以上です!
今日の一句
”泥臭く 追ってはじめて 分かること”
あわせてどうぞ。
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