イギリス人はいつどこへ旅行に行く?イギリスの旅行トレンドを徹底解説!

こんにちは。地域ブランディング研究所の佐藤です。

1年以上も続いているコロナ禍では、多くの人が娯楽の機会を奪われてしまいました。旅行も私たちにとって大事な娯楽のひとつです。イギリスでも、日本と同じように、旅行好きな人が非常に多いです。今回は、イギリス人の旅行の計画及び訪日旅行について、この数年のトレンドとともにご紹介します。

イギリス人の海外訪問数について

2019年のイギリス居住者の海外訪問数は9,310万人(イギリス統計局データ、旅行のトレンド2019年)でした。これは、イギリスの総人口が約6,700万人ということを考えると、計算上、年間で一人あたり1.3回以上旅行をしているということになります。(2016年には7,000万人強のイギリス人が海外旅行をしました。また、2018年にはひとりにつき平均1.6回の海外旅行をしているという数字も出ています。かつて7つの海を制したといわれる、大英帝国時代の名残なのか、外に出掛けるのが好きな国民だと感じます。

日照時間の長い地域や英語圏が人気の旅行先

2019年の旅行先人気Top10は以下の通りです。

ONS(イギリス国家統計局)国際旅客調査2019年より作成

1位:スペイン
2位:フランス
3位:イタリア
4位:アメリカ
5位:アイルランド
6位:オランダ
7位:ギリシャ
8位:ドイツ
9位:ポルトガル
10位:ポーランド

特に1位のスペインと2位のフランスへの訪問数は突出しています。スペインには年間約1,800万人、フランスには約1,000万人のイギリス人が訪れていました。どちらの国も世界で1番目(9,000万人)と2番目(8,200万人)に海外からの訪問客の多い国なので驚くには値しないのですが、この他にもいくつか傾向が見えきます。

まず、このTop10か国中9カ国は欧州の国です。フランス・オランダやランク外12位のベルギーは列車でも行けるくらい近いところなので、訪問客の多くは週末だけを1都市で過ごす「シティ・ブレイク」と呼ばれる滞在だと考えられます。

次に多いのが、スペイン・イタリア・ギリシャなどの地中海諸国です。冬が長く日照時間の短いイギリスでは、ビタミンDホリデーと呼ばれる地中海各国への旅行は永遠の人気です。ランク外11位に入っているトルコも、イギリス人の多くには温暖なビーチのある国として人気です。(日本人にとっては、イスタンブールやカッパドキアなどのエキゾチックな印象ですが。)

欧州国が占める中で、唯一Top4位にランクインしているアメリカは、ディズニーワールドやニューヨークなどの人気観光地(イギリスから一番の訪問都市)もさることながら、言葉の問題がない英語圏ということも魅力の国となっています。言葉はイギリス人の海外旅行選定において重要な要因となります。

ちなみに、同じ英語圏である南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドはどうでしょうか。これらの国々も人気の観光地ですが、言葉の理由以外にイギリスではホリデーの大きな理由の一つになっている親類訪問(Visit for Relatives)という理由もあります。(欧州の旅行調査で重要な要素の一つです。)

とにかく予約の早いイギリス人!

イギリスの祝日は年間8日間しかありません。これは日本の半分の日数で、また欧州他国と比べても(ドイツ9日、フランス11日、イタリア12日)少ないです。そのため、旅行は少ない祝日に集中する傾向があります。

祝日以外の休暇において、旅行のピークには3つあります。

まず、クリスマス前後の期間、もう一つは、イースターホリデー(移動祝日で大体3月終わりから4月終わりの4連休)となっています。学校の休みもそれぞれの時期に2週間くらいあるので、有給と併せて家族で旅行する人が多いのがその特徴です。(年間の有給は大体20−25日。有休消化率はほぼ100%)

そして残るは夏休み休暇です。学校の夏休みは日本と同じく地域によって異なります。(スコットランドは東北同様夏が短く、冬が長い、イングランド・ウェールズは大体7月中旬から8月末まで。)フランスなどのように国全体がバカンスモードになる訳ではありませんが、ビジネス旅行のペースはこの時期には(特に8月)多少落ちます。

このようにイギリス人の旅行期間は、祝日が少なく、かつ休暇中に集中します。そのため、イギリス人の多くがかなり前もって予約する傾向があります。最近でこそ以前よりは遅くなったとはいえ、6ヶ月前は当たり前、12ヶ月前というのも比較的多いです。イギリスで仕事をしていた際、日本の旅行業者泣かせだったのが、このイギリス人の予約時期の早さによる影響でした。

日本の宿泊施設は、そこまで事前に翌年の計画を立てたり、タリフを発行したりしているところは少ないため、トラブルのタネでした。イギリス人にとって人気の旅行地の多くは、早めの料金提示を行っているのが一般的です。アジア圏でも東南アジアなどの国は早めの料金提示を行っています。日本は予約可能期間を前倒しにするなど、この状況を改善する必要があるでしょう。

訪日旅行客はじわじわ増加傾向※新型コロナ感染拡大前

旅行先としての日本の認知度は向上傾向

2019年、イギリスからの訪日旅行者数は 424,200 人で過去最高を記録、初めて年計で 40 万人を超えました(これまでの過去最高は 2018 年 333,979 人)(JNTO2019年 訪日外客数より)。2019年には42万人に達したイギリスからの訪日客。実に前年の27%増加でした。ラグビーW杯やロンドン-関西線の就航などの影響もありますが、日本が旅行先として認知されつつあることは事実です。

イギリスのテレビでは、旅行好きのイギリス人をターゲットした様々なホリデープログラムが放映されています。日本を取り上げる番組が増え、それが認知度向上へ貢献している状況が続いています。オリンピックと合わせ国際的イベントが相次いでいることも、その理由の一つと思われます。また新聞の旅行欄(欧米の新聞の週末版は日本の元日の新聞並みのボリュームがあり、必ず旅行の別冊がある)や旅行雑誌などでも日本特集は増えており、やはりメディアによる発信力は大きいと感じています。

ほんの20年前までは、取り上げられるアジアの国といえば、たいていタイなどの東南アジアでした。日本は、テレビところか旅行会社のパンフレットですら取り上げられることがないという状況でした。私はそんな当時の状況を目の当たりにしていたので、昨今の状況は実に感慨深いです。

イギリス人にとって日本は物価の高い国?

イギリス人の訪日旅行の割合は、まだ全体の0.5%です。これには商用目的の旅行者も含まれるため、距離が離れていて遠い国ということを考慮してもかなり少ないです。それは、なぜでしょうか。

多くのイギリス人にとって、日本は物価の高い目的地だからです。旅行の目的地選びの一つとして、物価の安い場所という要素もあります。そのため、物価の高い(イメージのある)日本は、なかなか行けない場所で、行くとしても一生に一回は行ってみたい夢の目的地と捉えている人が多いのです。普段物価の高いイギリスに住んでいるので、旅行先にはお値打ちな場所に行きたいという心理も働くようです。(ただし、ニューヨークやパリが人気の通り、この理由は必ずしも多くの人には該当しません。)

この四半世紀で、日英の物価は完全に完全に逆転しています。例えば、日本では消費税絡み以外の値上げがほとんどないJR。これに対してロンドン地下鉄は、毎年数%の値上げを繰り返しています。両者を比較して考えても、日本はかなりお値打ちな目的地になってきている印象はあります。

ただしイギリス人にとっては、類似したアジアの目的地(タイ・中国など)と比べると高いのは事実です。特に車とガイド代はかなり高い印象があり、それが特にツアーオペレーターの中で印象を悪くしているのは否めません。また、過去にAffordable-Japan(お値打ちな日本)と銘打ったキャンペーンをやった直後、タイミングの悪いことにリーマンショックにより円高が進んでしまったということもあり、まだ日本は物価の高いイメージを払拭しきれていないようです。

ゴールデンルートと地方の組み合わせが鍵

コロナ禍で密を避けるために、多くの注目が地方に向けられているという話が飛び交っています。旅行業界で最近よく見かけるワード「Off-the-beaten-track」は、人跡まれな、観光客が訪れないような場所に行くこと、を意味しています。

ただし、それはあくまで基礎を押さえた上での応用篇です。イギリスマーケットにおいては、ロンドンからの直行便は東京と関西のみということを考えると、やはりゴールデンルートの東京・京都を外すことは出来ないでしょう。これは初めて訪英する日本人が、イギリスの地方都市アバディーン(スコットランド)とカーディフ(ウェールズ)しか行かないということがありえないのと同じです。

もっとも、コロナ禍で密を避けるため、地方に注目が集まってきていることを考えると、ゴールデンルート以外の地域を組み入れたルートも今後増えていくかもしれませんね。視野を世界に広げると、中国や韓国または東南アジアが日本の競合です。ゴールデンルートとそれ以外の目的地を組み合わせ、日本という国一体としてイギリスマーケットに売り出していくことが重要です。

まとめ

それでは、今後イギリス人をターゲットにしてどのように誘客を進めていけばよいでしょうか?

ここに、今までご紹介したイギリス人の旅行トレンドをまとめます。

  • ヨーロッパ諸国が人気の旅行先(特にスペイン・フランス)、近隣諸国への週末のみの滞在が人気
  • 冬が長く日照時間の短いイギリス人にとって、温暖なビーチのある地中海各国はビタミンDホリデーと呼ばれ、人気
  • 4位にランクインしているアメリカは、人気観光地(ディズニーワールドやニューヨークなど)という理由以外に、言葉の問題がない英語圏ということも魅力
  • イギリス人の旅行期間は、祝日が少なく且つ休暇中に集中する傾向がある。そのため、イギリス人の多くが6ヶ月前から1年前に旅行を予約する
  • 価格面では日本は常にアジア圏の中国、韓国または東南アジアとの競合にさらされている
  • ロンドンからの直行便は東京と関西のみ、ゴールデンルート(東京・京都など)が人気

今後は、課題となっている予約可能期間を早めに設定したり、アジア圏としてではなく日本としてより付加価値を見出せるようなコンテンツとして磨き上げたり、ゴールデンルートとそれ以外の目的地を組み合わせたりするなど、誘客に対する仕組み仕掛けづくりや日本の魅力を深堀りできるような独自の試みが必要になってくるでしょう。

イギリスを始め、各国の動きに注目しながらマーケティングを行い準備を進めることは、今からできる対策のひとつです。

 

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